―46― 痕跡
そんなわけで僕、クローセル、ヴァラクの3人で下町に行くべく馬車に乗っていた。
ヴァラクに言わせると、オロバスは下町のほうにいるんだとか。
馬車の中ではクローセルとヴァラクが仲良さそうに喋っていた。
内容は魔界にいる悪魔関係の話のようで、僕には聞いてもさっぱり理解できなかった。
のけ者にされた気分だ。
「んー、この辺にそのオロバスっていう悪魔の痕跡がある気がするのー?」
ヴァラクと来た場所は以前一度来たことがある冒険者ギルドのある建物だった。
「中に、オロバスが?」
「んー、そこまではわからないの。けど、手がかりはあるはずなの」
早速中に入ってみる。
中は以前来たときと同じように、図体の大きい男たちが昼から飲んで騒いでいた。
中を見回すが、オロバスは見当たらない。
話を聞こうと思い、カウンターにいるギ受付嬢のいるところに向かった。
「あの、オロバスさんって方を探しているんですが、ご存知ではないですか?」
「オロバスさん? 聞いたことがありますね」
受付嬢をそう言うと眉をひそめて考える仕草をする。
「あの、オロバスさんって方、この前ここに来ていませんでしたかー?」
受付嬢が酒を飲んでいる冒険者たちに聞く。
「ん、そういえばいたな」
「大酒飲んでたやつだろ。確か、自分は主人に合わす顔がないとかいって泣いてたやつだよな」
「帰り道もわかんねえ、とか言ってたよな」
「結局、どうしたんだあいつ?」
オロバスがここにいたのは間違いないようだ。
けど、それ以上の手がかりは掴めそうにない。
「なにを見ているんだ? ヴァラク」
ふと見ると、ヴァラクがなにかをじっと見ていた。
視線の先には多数の依頼書が貼られた掲示板。
「この魔物を追えばオロバスさんに会える気がするの」
ヴァラクが指さしたのは1つの依頼書。
『
「100万エールか」
その報酬金の多さに驚く。
他の依頼書を見ても、これだけ高額な依頼はない。
それだけ達成が難しい依頼ってことか。
「この魔物を追えば、オロバスに会えるのか?」
「うん、そうなのね!」
とヴァラクが首肯する。
そんなわけで3人で
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