―25― 水の特訓
女の姿から元の姿に戻れてから翌日。
そして決闘の日は明日。
今日は本当は学校に行く日だったがサボることにした。どうせ普通の魔術が使えない僕が授業を受けても意味ないしね。
僕は降霊術の特訓を寝る間も惜しんで何度も繰り返していた。
流石に、血を吐いて倒れるような真似は最初の一回限りだったが、最初の頃は降霊させるたびに痛みを感じていたのに何度も繰り返していくうちに慣れなのか、平気になってきた。
けれど加減を覚えるのが難しく、やりすぎて姿が変わってしまったり、逆に少なすぎて水の魔術が発動しないなんてこともあった。
また、姿も変わらなかったので、成功したと思って、水の魔術を発動させたところ暴走してしまい、コントロールができなくなってしまったこともあった。
そのときは、クローセルが代わりに水の制御をしてくれることで、なんとか事なきを得たが。
そんな感じで探り探り、僕は降霊術を試していった。
「次こそはうまくいったかな……」
もう何十回目となる降霊術。
手順自体は慣れてきたのか、スムーズにできるようになっていた。
「
途端、右手を中心に水色の魔法陣が宙に浮かび上がる。
そして、水の塊が発生した。
「うまくいった……っ!」
今度は暴走することもなく制御できている。
「おめでとうございます! マスター!」
「ノーマン様、おめでとうございます」
オロバスとクローセルも祝ってくれる。
「ありがとう2人とも」
僕はそう言って、発動した水のコントロールを始めた。
五本指の先から水を出し、それらを宙に舞うようにコントロールする。
そして、最終的には頭上の大きな塊となるように水を集める。
「よし!」
どうやら思った以上にコントロールできているようである。
それから思い思いに水をコントロールさせて、一通り終えたところで僕は思う。
「あ、そうだ。明日の決闘の対策をしないと」
「決闘ってなんですか?」
クローセルが首を傾げる。
「あれ? 話してなかったっけ?」
「そういえば妹のネネさんが言っていたような……」
確かに、ネネに降霊術を習ったとき、そんなこと言っていた気がする。
「実は明日、学校で決闘をするんだ」
「えっ!? そんな、危なくないんですか!?」
クローセルが心配する。
「別にそんな危ないものじゃなくて……」
それから僕は説明した。
学校では魔術の腕を磨くために、生徒間でよく決闘が執り行われることを。
もちろん命を賭けたものではないので安心すること。
怪我をすることはもちろんあるが、優秀な治癒魔術師がいるので問題ないわけだ。
「ルールはどちらかが戦闘不能と判断されるまで魔術を打ち合うことなんだ」
「マスタァアアアアア!! ぜひ、わたくしに応援をさせてください!」
「あ、わたしも応援に行きたいです」
今まで学校に悪魔を連れて行くことはなかった。
というのも学校で僕は馬鹿にされているので、そんな惨めな僕を見せたくなかったからだ。
「うん、いいよ」
けど、明日はそんな僕の評価を汚名返上する日。
応援に来てくれるなら、それは心強い。
「でも、ほら僕って今まで魔術を使えなかったから、決闘も初めてなんだよね。それに対戦相手は優秀な生徒だから、恐らく僕は決闘に負ける。けど、少しでもいい戦いがしたいんだ」
だから決闘のための準備がしたいんだけど、どうしたらいいんだろう。
「マスター、ぜひわたくしを相手に決闘の練習をしてください!」
と、オロバスから提案を受ける。
「えっ、いいの?」
「ええ、わたくしマスターのためなら、どんな協力も惜しみません!」
「わ、わたしも、ぜひ協力させてください」
というわけで、オロバスとクローセルとと共に決闘の練習をすることになった。
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