ノーモアぷれい!~ロリで神様な自称座敷わらしに憑かれました><

はね~~

第1話 今後のご活躍をお祈りします

「はぁ。結局こんなんと一緒に仕事する事になってしもうたん。憂鬱やわー」

 バスの最後尾。

 我が身の不幸をしみじみ嘆きつつ、窓の景色を眺めてる俺の横で、関西弁の女の子が黄昏ている。

 肌も顔もつるつるの丸顔。一見和服っぽいがベストやボタンなんかもついた和洋混在の桃色の服に、髪もピンク色。どう贔屓目に見ても10歳ぐらい。少女と言うより幼女だろう。

「それは俺の台詞だっつーの……」

「まあうちらがついてるからには百人力やけどな。あんたには何も期待しとらん、大船に乗ったつもりでのんびり座っとき」

 ピンクロリ……もとい、さくらは平坦な胸を叩き自信満々に言う。

 ――泥舟の間違いじゃありませんかね

 一方、さくらの隣には真っ黒い髪と和服に赤い瞳。頭を彼岸花で飾った幼女が、さくらの肩に寄りかかりスマホゲーに勤しんでる。

「おい。いつまでゲームやってるんだよ」

「黙ってて。私は今、愛馬の育成で忙しいから」

 これから仕事だっつーのに、こいつ――つばきは、俺を見もしない。

「おー、はしってるぞ! でもちょっとおそいぞー!」

 そしてもう一人。金色のショートカットに短パン、素足にヘソ出しルック。

 のこ、って変わった名前の幼女が車内を走り回っている。

「バスの中をドタバタ駆け回るんじゃねえ! 子供か!」

「こどもだぞー」

 いい加減黙ってられず突っこむ俺に

 ねーママ、あのお兄ちゃん誰と話してるの? しっ。指差しちゃいけません!

 などと子供連れの乗客から露骨に変な目で見られ、口を噤む。

「阿呆やんなぁ。うちらの姿は殆どの人間には見えへん言うたやん」

「くそぅ。どうしてこうなった。俺の何が悪かったんだよ……」

「頭じゃない?」

「ほっとけ!」


 なんでこんな妙な井出達の幼女三人と俺が一緒に行動しているのか。全てはあの一件のメールから始まったんだ――


*** 


 蔵田御幸くらたみゆき22歳、中堅私大の4年。成績は中。学生時代に打ち込んだ事も大してない。恋人いない暦=年齢のおまけつき。

 これが俺の大変しょぼいプロフィールである。

 お祈りメール不採用通知の山に精神を削られまくる地獄の就職活動だったが、小さいが望んでいた商社に内定が決まり、開放感と共に遊びまくっていたある日。

 何気なくテレビをつけた時とんでもないニュースが目に入った。


『取締役による背任の疑いで、平坦商社に本日警察が家宅捜索に入りました。禁輸や粉飾決算などの疑いでも捜査が入っており……』


「平坦商社!? 俺の内定先じゃねーか!」

 そこから先はマジで悪夢。会社の採用担当者には繋がらんし、就職課に相談しても、詳細が分かるまでは動きようがないと言われる始末。

 だが幸い大して待つ事はなかった。なんせ翌週、新聞の三面記事に「平坦商社倒産」の文字が躍り、俺の内定先は儚く散ったからな!

「差し詰め、Re;師走から始まる就職活動ってか。ふざけんなゼロより酷ぇよ! 大マイナスだよ!」

 これが内定取り消しなら、手を差し伸べる会社もあったかもしれないが、不祥事で倒産では大して同情もされない。世間は真冬の寒さよりも冷たかった。

 既に12月、業界なんかどこでも良いと開き直り片っ端からES出しまくったが、目下連敗街道驀進中である。33-4。

「うがあああ! 誰か助けてくれ! 神様ー!」

 困った時の神頼みとは良く言ったもんで、どんな神様でも良いからと祈った矢先。

 メールの着信音が鳴った。

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