第2話
初めて彼氏ができたことに対して私の心は飛び跳ねていた。そんな中、ひとつの疑問がうまれた。
「ねぇ、今まで感じていた痛みとか苦しさとかはどうなるの?」
今の状態が続くのかがどうしても気になった。
「申し訳ないけど、昼間の間は我慢してもらうことになってしまう、けど僕が来た時にはかならず今の状態に戻るから安心して!。」
それだけは知れて嬉しかった。
いつでも痛みはなくなる訳じゃないけど、奏音くんと話しているときにこれなら大満足だった。
もう少し話したいことはあったけど、だんだんと辺りが明るくなり始めたので奏音くんはそこで戻ることになった。
「じゃあ、また明日。あ、それと僕と一緒にいる間の時間は睡眠と同じ状態に身体はなっているから大丈夫だよ〜!!。だから安心してね。」
「うん!!これからよろしく~!!」
心の底から声が出た。何より嬉しくて多分、今がこの人生の中で一番笑っていると思う。
そしてベッドに戻ったらまた動けない状態へと戻った。いつもの通りすごく辛い、でもいつものような孤独感はなかった。
数時間経つと、いつもの看護師さんがおはようと声をかけてきた。これは日課のようなもので、前はおはようと返していたけど、今では返事をすることも出来ない。
それでも看護師さんが伝えてくれることはちゃんと聞こえている。いつも今日の天気と気温、母が見舞いに来るかどうかを伝えてくれる。
看護師さんによると今日は仕事を抜け出せないらしく見舞いには来られないらしい。
小さい頃はそれを聞いてすごく悲しくなった。でも最近はどちらかと言うと一人でいることが寂しくなった。だからこそ、湊音くんが来てくれることは私にとって心の支えになっていた。
時間はお昼になった。本来なら入院している人には食事が支給される時間だけど、私は違う。
もう一ヶ月くらい前から食べられなくなった。だから今は点滴で栄養を得てなんとか生きている状態だそう。
こんな感じだから、私は湊音くん……死神さんにお迎えが来たって言われても「あ、そうなんだ……」ぐらいにしか思わなかった。
今の私にはこれといった楽しみはない。でも、だからこそよく妄想をしていた。こんなところに行ったらとかこんなことしてみたいなとか、もちろん、彼氏がいたらとか………も、……。
(奏音くん、やってくれるかな……?)
もし、本当にできるのだとしたらと考えると嬉しい反面、恥ずかしさもあるけど、してみたいな……。
三時ぐらいになると身体をほぐすためにマッサージをしてくれたりはするがその他は何もない。
なので何時間も妄想に耽る、これが私の日課。
そして奏音くんが来てくれる12時まで一人寂しく待っていた。
(早く来てくれないかな〜)
すると昨晩のような光が窓から差し込み奏音くんが姿を現した。
「こんばんわ、華凛。じゃあ、動けるようにするね。」
そう言うと彼は、私に手をかざし、ゆっくりと何かを唱えた。
すると私の身体は、痛みがなくなり、昨日のような状態に戻った。
「ありがとう!!」
「お礼を言われることじゃないよ、さて、何をするのかな?」
〜続く〜
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