『奇跡』と『霊験論』に関する中間調査報告書
この世界における『真なる奇跡』とは、物理法則すら捻じ曲げる異常な現象・事象。そして人の手に負えない規模・範囲を有する現象・事象のこと。
この2つの要素が確認されて初めて、その現象は『奇跡によって起きた現象・事象である』と定義している。
ちなみに『魔法』と呼ばれる現象は、人の手にも奇跡を扱えるよう、相応の大きさへとスケールダウンさせたものであると定義される。
この奇跡の原理を解明するため、組み上げられた学術理論が『霊験論』である。この理論は命名個体発生のメカニズムを解明する鍵になるとされている。
奇跡そのものとは、下記にある『5つの前提』の上に成り立つとされる。
1.奇跡そのものを観測することはできない。
2.奇跡によって引き起こされた現象・事象ならば、観測することが可能となる。
3.奇跡を起こすには運が必要である。そして運は生物の種類毎に上限と下限が存在し、個体差が存在する。
4.運そのものは他者から奪う・分け与える、もしくは他者のために使うことはできない。
5.奇跡によって現象・事象を起こすには、起こす本体に対して相応の運の数値が要求される。要求値に満たなかった場合、その現象・事象は絶対に起こらない。
この学術理論は、2001年に提唱されたという記録は存在する。しかし提唱した人物が誰なのか不明のままであり、2100年現在もその人物の特定には至っていない。
当初はマイナーな学説に基づいた小さな学問分野であったが、命名個体No.1『
「魔法の定義は存在する。だが、現在魔術師は存在しない。より強い魔法を求めるうち、魔法が奇跡へと変貌してしまったと推測されている。証拠は魔術師がどうなったかにある――ヒトの頭蓋骨に対して内部の脳が異常な委縮を起こしており、魚同然と言っていい体積量にまで縮小していた」
――考古学発掘チームの最終発掘報告より抜粋
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