高みを目指せ! 〜かつて最強に近づいた者〜

@siro22

第1話 再び

23時40分。アランとラッセルはラッセルの家でぐーたらしていた。先ほどまで2人はサークルの飲み会に参加していたが、二次会のカラオケはめんどくさいから帰ろうとなったのである。ラッセルの家でアランはロボットの対戦ゲーム見つけた。アランはこのゲームを懐かしく思い、ゲーム機を起動させた。そんな姿を眺めていたラッセルは少し笑った。


「ゲームはもうやめたんじゃなかったのか?」


アランはその言葉に反応をしないでモニターを見つめていた。


「操作方法って昔と一緒?」


「一緒だけど。お前がやってたのは2作前だから、機体環境は変わってるぞ」


「大丈夫。ランクマッチやらせてもらうよ。カジュアルじゃつまらないから」


「いいけどランクを落とすなよ。今473位なんだから」


ラッセルはリリース当初からこのゲームをプレイしている。プレイヤー人口が4,000万人ということを考えれば473位はかなり高い順位である。そうなってくると敵もそれ相応の強さになってくる。ランクマッチは猛者としかマッチングしない。


ラッセルが画面に目を向けるとアランは5連敗していた。アランは4年ぶりにプレイするし、敵も猛者だから仕方ないと思いながらも、少しショックを受けた。アランならと少し期待していたからだ。椅子に座って真剣にゲームをプレイしているアランを見ながら、ラッセルは眠ってしまった。


翌朝、ラッセルは目を覚ますとアランがいないことに気が付いた。だが風呂の電気がついていたのでシャワーだとわかった。モニターがつけっぱなしだっだのでゲームの対戦記録を見ると、ラッセルは言葉が出なかった。87連勝中と書いてあったからだ。ランクマッチというものは敵も同じくらいの強さだ。だから負けよりも勝ちを多くして順位を上げる。たまに調子がよくて7連勝くらいできるが基本的には5試合やって3回勝てれば上出来のようなものだ。


「おう。起きたか。シャワー使わしてもらったよ」


ドライヤーで髪を乾かし終えたアランが、パンを食べながら言った。


「ああ。お前87連勝って」


「4年ぶりにやったから、システムとか機体の性能が少し変わってて最初苦戦したけど」


アランがどこまでいけるのかみたいなと思ったラッセルは、ゲームセンターに行こうと提案した。このゲームはゲームセンターにもある。ゲームセンターでプレイする人達はみんなありえないほど強い。というか自分に相当の自信がないとそこでプレイすることはできない。プレーヤーがプレイするゲーム機以外に、そこにいる人達が観戦できるように巨大なモニターが設置されているからだ。つまり自分のプレイをその場にいる全員に見られることになる。


ゲームセンターに行こうという提案にアランは少し驚いたが、自分の実力を試したい気持ちもあったので行くと返事をした。2人は身支度をして、10時ごろに家を出た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る