第6話 ラプンツェル⑥

 さあ、4階にやって来ました。


「さあ、4階にやって来たね」

「ええ、4階にやっと来たわね」


「うん、4階だよね、ここ」

「そうね、ここは、4階よね」


「厄介の間違いかな?」

「そっかい?」

「もっかい、言って。聞き逃しちゃった」

「いっかい、だけしか言わないわよ」


 この人たちは、いったい、どうしたことでしょう?


 実は、二人は、このフロアーには何も無いので、困惑していたのでした。


「そうだ!ひょっとして、隅々まで歩いたら、この階をクリアーしたってことで、上への階段が出てくるんじゃない?」

「でも、それはとても時間がかかるよ。魔女が来てしまうし、第一ここに来るまで、時間をだいぶん、使ってると思うからね」


 そうして、二人は仕方がないので、奥のほうまで行きますと、今まで、床や壁の色と同じ真っ白だったのでわかりませんでしたが、とても綺麗な女性を象った彫像がありました。


「きれいね~」

「ホントに、何てステキな女性像だ・・・」


 そう言うと、何を想ったか、王子はその像の唇にキスをしたのでした。


「えっ!!王子様・・何をなさってるの?・・わたしというモノがありながら」


「えっ!!あっ!!つい」


「つい、何ですって!!」

「えっ?だから、その・・」

「だからとか、しかしとか、おかしいよね!いま、ついって言ったよね!つい、僕はキスをしました?おかしいよね!つい、僕はあの子とベッドを共にしました?おかしいよね!つい、僕は」

「もうやめてくれ!すまない、ごめん!ほんとにごめんなさい!!」


「この像のどこが気に入ったのかしら?ちゃんと説明なさい!!」

「うっ・・えっと・・その綺麗なお顔とか?」

「それから!!」


「えっ?・・それから、そのふくよかなムネとか?」

「はあ~ん?そうなのね!!これ、この出っ張りがいけないのね!わたしよりも大きいなんて!!」


 そう言うと、エリーゼはその女性像のふくよかなムネをコブシで叩いたのでした。

「バキッ!!ガラガラガララララ・・・・」


「えっ!!」


 5階への階段が降りてきました。


「やったぞ!でかしたね、エリーゼ!!」

「うん、わたし、やったわ!!」

 こうして二人は熱い抱擁をして喜んだあと、手を繋いで5階へと上がって行きました。


5階に着くと、そこには扉などなく、いきなり広いフロアーに出ました。


「ようこそ、お二人さん。楽しんで頂けましたかしら?うふふふ」


そう言って笑うのは、あの、塔の上から助けてと叫んでいた美女でした。


「あ、あなたは、いったい、何者なのですか?」


「わたし?まだわからないの?おバカさんですね。わたしの名前はラプンツェル!わたし、言ったわよね。何回もごかいよって!あなた達は、勝手に誤解をして、ここに来たわけ、うふふふ、くくくく、あははははは!」


そう言うと、さっきまでの清楚で優しい顔が醜く歪み、目は釣り上がり、口は裂け、髪の毛は逆立つのでした。



つづく



次でラストかな?

さあ、ハッピーエンドへ向けて、聖剣が煌めくぞ!!


でも、誰がハッピーになれるのか?

それは、次回のお楽しみ!





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