第2話 ラプンツェル②

 二人は、森の奥へ来ました。


 森の奥は、鬱蒼としており、果たしてこんな所に塔何てあるのかと、二人は思いました。


 ジョーは、もういいだろうと、叫びます。

「ラプンツェル、ラプンツェル!!」


 すると、蔦を絡ませた塔が向こうの方に見えるではありませんか!


 二人は、塔を目指して、更に奥の方へ進みました。


 塔の上では、確かに、若くて綺麗な女性が居て、こちらを見ていました。


「貴女は、ラプンツェルって言うのですか?」


「いいえ、違います。私は、そのラプンツェルという魔女に騙されてこの塔に閉じ込められているんです。どうか、助けてください。お願いです!」


 彼女の声音は、ジョーの心に沁み渡り、ジョーは助けたくて居てもたってもいられません。

 彼女の綺麗な顔は、その柳眉がとても困った様に眉間に寄せられ、哀れさを誘い、ジョーは、もうその女性しか目に入りません。


「助けます!待っててください!直ぐに行きますから!」


「今は、魔女はいません。今なら、その扉から入ることが出来ます。私は5階に居ます。5階ですよ!」


「今、直ぐに行きます」


「待って、ジョー。なんだかおかしいわよ」

 

 ジョーは、エリーゼにイラついた表情を向けました。


「君は何を言ってるんだい?早くしないと魔女が戻って来たら、どうするんだ!」


 ジョーは聞く耳を持ちません。

 扉を開けると中へ入って行きました。


「あっ!待って!」

 エリーゼも中へ入ろうとすると、扉が目前で閉まりました。

 エリーゼが扉を開けようとしても、びくともしません。


 エリーゼは、塔の上の女性に向かって、叫びました。


「貴女は、なぜ、そこから一階へ行けないの?」

「私は、この部屋に閉じ込められてるの」


「だったら、ジョーは、その部屋に入ることができないじゃない?」

「扉の傍にカギがあるのよ」


「私は、この塔になぜ、入れないの?」

「たぶん、魔女の魔法か何かでしょう?私にはわからないわ」


「貴女は、何歳なの?」

「女性に年齢を訊くなんて、アナタが女性でも嫌だわ」


「そろそろ、5階に来てないの、ジョーは?」


「あっ!!魔女が来ます!アナタ、隠れて!!早く!」


「えっ!!」

 エリーゼは、茂みに隠れてじっとしていました。


 もういいだろうと、茂みから出て塔の方に目をやると、塔は消えていました。


「えっ!!どこ?どこに行っちゃったの?ジョー―ー!!」

 ジョーと呼んでも、答えてくれるのは、自分の声のだけでした。



 エリーゼは、日が暮れるまで、塔を探すのでした。

 ラプンツェルとも叫んでみました。

 それでも、塔は見つかりません。


 エリーゼは、いつしか、歩き疲れ、探し疲れて、暗くなった森の中で眠ってしまいました。



 つづく






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