第16話 盗賊団のボスを撃破
盗賊団のアジトに潜入し、団員たちを撃破した。
残るは、ボスだけだ。
「さて。これで、残るはお前さんだけだぜ」
「ちっ。部下どもをやってくれたな。だが俺は、そう簡単にはやられんぞ」
俺はボスと対峙する。
ボスは斧を構えている。
やはり集団の頂点に立つ男だけあって、なかなかの実力を持つようだ。
立ち姿が安定している。
「ぬあぁっ!」
ボスが斧を勢いよく振り下ろす。
こちらの位置を正確に捉えた、鋭い攻撃だ。
素人が相手であれば、この一撃で脳天を割られて終了だろう。
しかしもちろん、そんな攻撃をくらう俺ではない。
「甘いな。はあっ!」
俺はボスの攻撃をヒラリと躱す。
そして、彼のみぞおちに一撃を入れる。
「ぐうっ!? く、まだまだ!」
ボスはダメージを負ってうめくが、戦闘不能には至っていない。
なかなかのタフさだな。
多少強いくらいの男であれば、この一撃で悶絶して戦闘不能に至る。
事実、彼の配下の盗賊たちはこれと同程度のパンチで撃破してきた。
「意外とやるな。見直したぞ」
「なめてんじゃねえぞ! 鍛えてはいても気術を使えねえ素人に、俺が負けるか!」
「きじゅつ?」
ボスからの連撃を回避しながら、俺はそう聞き返す。
「ガチの素人かよ! 体の気功を開いて闘気を放出し、身体能力を向上させる技術だ! こんな山奥の村じゃ、そんな技術があることすら広まっていねえのか!」
ボスがそう説明する。
「なるほど。丁寧な説明をありがとう。お礼に、お前は殺さずにいてやるよ」
気術とやらについて、もう少し腰を据えて聞きたいしな。
とりあえず捕らえて、村でゆっくり尋問することにしよう。
「ふざけるな! 気術も使えねえやつに俺が負けるか! 死ねや!」
ボスがそう言って、力強い一撃を繰り出してくる。
何やら、彼の体からオーラのようなものが出ているように見える。
これが、気術とやらか。
確かに先ほどまでの攻撃よりも、数段は威力が上がっているようだ。
しかしーー。
「せえぃっ!」
「ぐああっ!」
俺の反撃で、ボスは大ダメージを受ける。
彼が地面に倒れ込む。
「興味深い技だが、使い手がお前程度ではな。もともとの実力の差がありすぎる」
「ちっ。ク、クソが……」
ボスはそう言って、気を失った。
これにて、ブラック盗賊団の討伐作戦は完了だ。
「おおい! 野郎ども。もう終わったぞ」
少し離れたところで待機している村の若い男たちに向けて、俺はそう声を掛ける。
「す、すげえぜ! リキヤの兄貴!」
「ああ! まさか1人で20人以上の盗賊をぶっ飛ばしちまうとはな!」
「それに、あの悪名高いダーヒル頭領もまるで相手になっていなかったぜ!」
「「「兄貴! 兄貴!」」」
男たちは、何やらテンションが上がっているようだ。
散々村を苦しめていた盗賊が粉砕されたので、当然か。
あとは、俺の戦闘を見て憧れてくれているのかもしれない。
その憧れを糧に、成長していってほしいところだ。
そして、ゆくゆくは俺のライバルになれ。
「よし。盗賊たちの身柄を拘束して、村に連れ帰るぞ」
「了解しやした。物品の回収はどうしやすか?」
「とりあえず後回しだ。後日改めて回収に来よう」
俺たちはさっそく、盗賊たちを捕縛していく。
何人かは、俺の手加減が足りずに死亡していたようだ。
まあ、悪人のようだったしどうでもいいが。
奴隷として売り払ったときの金が減るのは少しだけ残念だな。
そんなことを考えつつ、捕縛作業を進めていく。
生き残り全員の捕縛が完了した。
「リキヤの兄貴。さっそく村に帰りやしょう」
「ああ。だが、その前に1つ確認が必要なことがある」
「なんでございやしょう?」
「どうやら、さらわれた女性がアジトに捕らわれているようだ。もう少し奥に行ったところにいるかもしれん。俺が様子を見てくるので、お前たちは盗賊たちを見張っていろ」
ほら穴の中を進んできたが、ここまでで女性の声は聞こえなかった。
それらしい分かれ道もなかったしな。
捕らわれの女性がいるとすれば、ここよりさらに奥だろう。
俺はこの場を村の男たちに任せて、アジトの奥に向かって進み始めた。
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