第8話 ビッグボアの討伐報告

 フィーナの父ダインの畑仕事を手伝っていたところ、ビッグボアとかいうイノシシと遭遇した。

 多少手こずったが、無事にビッグボアというイノシシを倒した。


「さあ。いい肉が手に入ったな。今日は、イノシシ鍋といこうじゃないか。たくさん食べよう」

「この肉は、俺たちにも分けてもらえるのか?」


 ダインがそう問う。


「もちろんだ。さすがに俺1人では食い切れん。それに、みんなで食べたほうがうまいだろう? ダインさんやフィーナはもちろん、村の者にも分けてやるさ」

「リキヤさん、すてきです。村のみんなも喜ぶと思います!」


 フィーナがうれしそうにそう言う。


「ありがとう。リキヤ君のおかげで、久しぶりに腹いっぱい肉が食べれそうだな。こいつを村に運ぶために、人手を集めてくる。少し待っていてくれ」


 ダインがそう言って、その場を離れようとする。


「ん? これぐらい、俺1人で持てるぞ?」


 つい先ほどの戦闘で、背負投をしたところじゃないか。


「ふんっ!」


 俺は掛け声とともに、ビッグボアの巨体を担ぎ上げる。


「なっ!? あ、改めて見ても、とんでもない力だ」

「ひえぇ。人間が持てる重さじゃないと思うのですが……」


 ダインとフィーナがそう言って、目を丸くする。

 少し大げさな感じだな。

 せいぜい、300キロかそこらだと思うが。


 そのまま、俺たちは村に向かって歩き始めた。

 そして、ほどなくして村に着いた。


 村の中を進んでいく。

 イノシシの巨体は俺が担いで持ち運んでいるわけだが、なにせ大きいので、目立つ。


「あ、あれは……。ビッグボア!?」

「あの男が倒したのか?」

「まさかそんな。村の者総出でも、倒せるか怪しいところだぞ」

「いや、あの怪力を見ろ。あの巨体を1人で担ぎ上げている。あの力があれば、討伐も可能か……」


 村の者たちが口々にそう言う。

 注目を集めてしまったようだ。

 騒ぎを聞きつけた村長が、こちらに駆け寄ってくる。 


「こ、これはこれは、リキヤ殿。そのビッグボアは、まさかリキヤ殿が討伐されたのですかな?」


 村長がそう言う。


「ああ。なかなかの強敵だったがな」

「リキヤさんは本当に強かったです。なんと、ビッグボアの突進を正面から受け止められたのですよ!」


 フィーナが興奮気味にそう説明する。

 まあ、実を言えば倒すだけなら他の方法もあったのだがな。

 せっかくパワー自慢の獣と戦えることになったので、正面からぶつかってみたのだ。


「俺も確認したぞ。村長」


 ダインがそう補足する。


「そ、それはなんとまあ。リキヤさんはとんでもなくお強いのですな。にわかには信じがたいことですが、フィーナとダインもこう言っておりますし、何よりビッグボアの死体がある……」


 村長が感嘆した声色でそう言う。


「それでだ。せっかく大きな肉が手に入ったことだし、イノシシ鍋でもしてみんなで味わってはどうかと思ってな」

「よろしいのですか? リキヤ殿が狩られた獲物ですが……」

「いいさ。どうせ、1人ではさすがに食い切れんからな。フィーナやダインに手伝ってもらっても、まだ余るだろう」


 俺はそう言う。

 余らせて腐らせるくらいなら、みんなで食べたほうがいい。


「感謝する、リキヤ殿。……聞いたか、みなの者! 今日はイノシシ鍋じゃ!」


 村長が村の者たちに向けて大声でそう言う。


「おお! 太っ腹だな!」

「あのたくましい腕……。すてき……」

「俺、イノシシ肉大好きだぜ! 楽しみだ!」


 村の男性、女性、子ども。

 それぞれがそう言う。

 他の者たちも、うれしそうな様子だ。


「ではさっそく、村の者たちに準備させよう。イノシシの解体と、具材の準備じゃ。せっかくじゃから、村の中央で火を起こしてお祭り騒ぎといこうかの」


 村長がそう言う。

 彼の指示のもと、イノシシ鍋の準備が進められていく。

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