13 権力-暴力=無力→権力=無力+暴力
翌日。
「公平さんのばかぁ……」
半泣きのミーカは、ベッドに横たわる、包帯だらけの公平の汗を拭ってやった。
「……しかたないだろぉ、滞納者には容赦するなって、冬杜さんが……」
ミリーラの、
異世界では様々な傷や病気を治す、
「じゃなくて……私を庇わなくても、よかったでしょう……!? 子ども扱いして……!」
「……嘱託職員が、正規職員と、一緒に公務災害です、とかなったら、面倒くさくて爆発しちゃうよ……大体、
部隊はミーカをも容赦なく襲おうとしたのだけれど、公平は彼らの足にすがりつき、それだけは防いだ。もっとも少女を庇おうとする公平が面白かったのか、代わりにお前を四倍痛めつけさせろよ、という申し出を快諾してしまったので、公平の怪我はさらに重くなったのだけれど。ちなみにそれを申し出た男はその返事を聞くと喜色満面に〈
「どういう理由ですかもう……!」
「あぶっ……」
むにっ、と公平の唇をつまむミーカ。守られて嬉しいのが半分、お前は半人前だと言われて悔しいような気分が半分の、複雑な気持ち。
「旦那……お加減はいかがで……?」
果物を皿に盛ったキィハァルが部屋に顔を覗かせる。
「お見舞い客がもう一人、来てましてね……ほら」
そう言うと、ひょい、と脇に一歩どいてみせる。
キィハァルの背後には、一人の少女が立っていた。いや、ひょっとすると少女という言葉さえ当てはまらないほど幼い娘。丸みを帯びた可愛らしい顔を沈痛な表情に曇らせ、ベッドの公平を見るとはっと息を呑む。
「あぅ…………あ、あの……ご、ごめん、なさい……」
「あれ……あなた……」
ミーカが目を丸くする。ミリーラに、平和に済ませようと懇願していた荒事部隊の一人だ。兜を目深に被っていてわからなかったけれど、どうやら本当に少女だったらしい。
少女、〈
「ほ……本当に……ごめん、なさい……」
「え、あ、いや……」
ニコは泣き崩れ、公平の上に屈み込んだ。優しく彼の頭を抱えると、ゆっくり目をつぶり、顔を押しつける。涙はニコの頬を伝い、公平に落ちると、不思議な白い光で彼を包んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます