サブストーリー「かくれんぼ」
予告エピソード 生徒会の黒い噂
夜。誰もいなくなった生徒会室の中で高須少年はごそごそ何かを探している。
書類を引っ張り出して読んでは気に入らずに元に戻すの繰り返し。
「苦労して忍び込んだけど、やっぱ大事な書類とかはそう見えるような場所に置かないよなぁ」
高須くんがこの部屋に忍び込んだのは、この生徒会についての情報収集だった。
彼は思っている。ここの生徒会は何かを隠していると。それこそ普段生徒の前では見せない恐ろしい顔を。
「生徒会執行部。名前だけは語られても決して表には出てこない連中。そいつらは普段どんなことをやってるのか」
高須少年は表の生徒会の見習い委員として活動を手伝うが、先輩たちにそれとなく聞いても知らぬ存ぜぬの一点張り。
まるで幽霊みたいな存在に高須くんはとても興味がある。
「噂によると、学校運営上において処理すべきだとしたことを秘密裏に処理する集団だと聞いた。ここに資料がなければそれは1つの別の可能性が浮き上がらせる」
独り言で現在の捜索進行度を確認する。
別の可能性、それは『生徒会と生徒会執行部とは似た名前の別の組織である』ということ。
生徒会の中の一組織ではなく、全く関係のない組織であり、ここではない別の場所に活動拠点を設けていたりするのかもしれない。
それを判明させるためにも、今夜中にこの生徒会室のあらゆる資料や痕跡を確認して結論を付けたい。
「……最後だ」
生徒会長の引き出し、鍵をデータピッキングツールで解除して開ける。資料の中には、まとめてある報告書のまとめの数々が。
「生徒会長もこれに全部目を通すなんて大変だねぇ……ん?」
ビンゴ! 心の中でガッツポーズ。
ここで見つかるとは思っておらず、あまりに唐突に表れた執行部の活動がまとめられた書物が1つ。
早速中を開き、少しでも目的の組織の手がかりを得ようとページをめくる。
1月22日
生徒会長の許可 事前承諾
内容「校内でいじめが発覚。過度な暴力行為、および精神的苦痛行為を行った生徒2名に粛清」
生徒環境十則の補項と照らし合わせ7名の外部アンケート審議満場一致で、強化のための負荷の範疇を逸脱したと判断したため、2年生男子『黒塗り』『黒塗り』を粛清。および自主的な理由で退学をする旨を書かせた。並びに被害者の記憶封印処理を完了。
4月8日
生徒会長の許可 事後報告(生徒会長および生徒会の半数以上の承諾済み)
内容「新入生部活勧誘での女子生徒誘拐監禁を行った生徒の『黒塗り』分」
部活規則数項、および京都における法律に抵触する行為が発覚。執行部員が一名現行犯を目撃、数々の証拠を確保したうえで犯人へと接触。犯行生徒には情状酌量の余地はないと判断し『黒塗り』をやむなく遂行した。
「マジかよ」
生徒会執行部は生徒会とは別組織のような扱いとみて間違いない。
生徒会長と副会長が生徒の中から特に戦闘力とモラル意識の高い生徒から何名かを選出してその年の執行部としてスカウトする。
彼らは会長と副会長のみの指示に従い、生徒会や風紀委員会が表で注意をするのでは生ぬるい悪質な行為を行った生徒へ、『荒っぽい』対処を行い、学校の平和を守っているというわけだ。
4月21日
生徒会長の承認 副会長が代行
内容「学校内に入り込んだスパイ容疑者を捕獲」
生徒会が見つけた不審者を副会長が引き継ぎ、執行部へと業務を委任。尋問を行った。尋問の結果不審者は本学の生徒ではなく、また学内の秘密資料を不正コピーした証拠があったため、対象を『保護(何かが白く消された上に表記)』して『説得』することを決定。6月ごろ『説得』が終わるため、本執行部へと配属となる。
「こわ!」
高須くんはつい目を背けてしまった。
21日のように不審者が見つかった場合、捕まってまずは拷問でも受けるらしい。
不審者を見つけるのは簡単だ。高須くんも持っている生徒会全員携行必須の不審者センサーは学生登録のない生徒を自動検出してくれる。
しかし捕まった後のことは何も知らなかった。
万が一見つかってはきっと良くないだろう。たとえ無実だと判明しても、それまでに何もされないということはないはずだ。
「面白い資料が見つかったぜ。早速写真に収めて……」
「あら。悪いネズミがいるな」
心臓が必死に動き始め警鐘を鳴らす。
入口。暗いこの部屋を明るくする1人の男。
「玄武先輩……!」
「そうヤバいって顔をするな? そんなに学校の闇を見たいのなら、今から見せてやるとも? なぁ? 高須」
「いや、俺は、この部屋に忘れ物をして……」
「そう遠慮するなよ。お前も生徒会の一員だ。だけど、あーあ。せっかく先輩がとぼけてお前の注意が向かないようにしてたのに。残念だなぁ」
翌日、高須少年は一日も欠かさずに出席していた授業に姿を現さなかった。
(サブストーリー「かくれんぼ」 12月18日開始!)
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