サブストーリー「レイとのデート①」 勝負服編
予告編 アクマ眼鏡さんのホットな話題 鬼娘の巫女
俺の名前はアクマ眼鏡。悪霊マニアさ。
ハンターとは言わないぜ、だって俺戦えないから逆にハントされるし。
え? そもそも悪霊って何なのかだって?
簡単に言えば、俺の住むこの街、京都を襲う化け物みたいなやつだ。こいつら、RPGゲームの雑魚敵みたいわらわら湧いてくるんだ。ホントどうしてかは誰も知らない。
その謎を明らかにするために研究をしているんだ。これでも俺は京都中央大学の悪霊研究家の准教授なんだ。人よりは語れる自信がある。
そうだな……あまり専門的な話をしてもつまらないし、俺の活動ワークの中で今一番世間的にもホットな話題を交えて話そうか。
最近ホットな話題と言えば鬼だ。
鬼も悪霊の一種だけど、普段この街に現れる悪霊とは話が違う。
そもそも悪霊の定義だけど、この街でいう悪霊とは、街の人間に害をなす敵の化け物の総称ではある。
最も学術的に言えば少し異なる。その住人を襲う化け物の内、人の形をしていないものを悪霊と考え、その中でも機械体、生物体、幽霊体などの区分に分かれるんだ。
ちなみに人の形をしている奴らは大体外から来た神人やその臣下の敵だったりする。最も悪霊は見境がないから、悪霊の存在が外の連中がこの街の占領を渋る大きな理由になってたりするんだけど、そこら辺の話はまた今度にしよう。
さて、鬼の話に戻ろうか。鬼は人型だから悪霊には区分しないところなんだけど、鬼は実は悪霊の生物体や幽霊体の性質も持ち合わせている不思議なヤツだ。正直、もはや鬼という区分があってもいいくらいに、今までの判別方法がきかない。
それにまだまだ秘密が多い。ぜひとも全身をスキャンさせてくれれば多くのことが分かりそうなのだが、鬼は強いし人を食うらしいしで捕獲は危険だ。
どこかに合意のもと研究させてくれる鬼はいないかなーいないよなー。
仕方ないので研究の基本である観察とフィールドワークからだ。
え、今は昼? 悪霊が現れるのは夜だろう?
へへへへ。それはそう。しかしながらね。1つ手がかりがあるんだよここに。
大通りの曲がり角にあるこの定食屋さん。そこにいる……、
「お待たせしました、ご注文を伺います」
「いつものと、このスタッフさんにここのおすすめの油淋鶏とノンアルコールビールを出してほしいんだ」
「はい。いつもごひいきにどうも!」
そうだ。あの子だ。
え、可愛い女の子を追ってるストーカー行為?
ちがうちがうちがうちがう! ――いやあの子がかわいいのは否定しないよ。この店に新しく入った金髪ショートヘアの女の子。
でもあの子の夜の姿は、え、なに? 逮捕? だから何か勘違いしていないかい?
あの子が噂の、夜に悪霊を倒すレイ&レイのうちの1人。かわいい。
ゲフンゲフン。えーっと。はははは。お願いだから反逆軍治安維持隊に通報するのはやめて……。
あの子は鬼に関係している。それは間違いない。なぜなら1回助けてもらったことがあるからね。
まずはお近づきになることが重要なんだ。こうして彼女が務めているバイト先へと通いながらお話をする機会を……え、来ない? そんなこと言うなよ分からないだろ。
仮に来なくてもまあいいんだ。いつかこの店でも何かボロを出すかもしれない。後はここの店コスパ良いから普通に好きだからいいんだよ。
ほらー君もあの子のこと目で追ってるじゃないか。
もうリピーター確定よ。だけどね、君は知らないと思うけど鬼の娘の別嬪さんなんだよ。
僕はあったことあるね。
仲睦まじい2人を見ていると主と従者という感じじゃなくてもっと友人みたいなそんな雰囲気だよね。
そう言えばその時もあの子服はメンズに近いもの着てたなぁ。今だって制服こそ着ているけど正直他の服を着ているを見たことがない。
もっとおしゃれすれば輝くと思うんだよ。
いつかはちょっと見てみたいな。まあ、勇ましく戦うヒーローにはそういうの不要なんだろうけど、もしも来てくれたら僕、たぶん嬉しさで気絶しちゃうよ。
え? 鬼と関係ない話? ただのストーカー、通報しました?
やめてくれぇええええええ!
ふぅ、危うく逮捕されるところだったじゃないか。まあいい。いよいよ夜のフィールドワークの時間だ。
そうだ、あそこで。ん? ああああああああ!
うるさい? そんなことを言っている場合じゃないんだよ。
よく見ろー? 地獄に行ってもあんな素晴らしい光景は見られんぞぉ?
戦ってる。レイちゃんとレイちゃんが戦っているんだよ。相手はゴリゴリのデカい奴だな。なんだか体が肉なのか石なのか分からないな……。
まあでもおそらくは生物体巨体系、肉鎧人族だろう。体の構造が彼らに似ている。土目系亜種がさらに変異したタイプかな? そんなに強くないから平気だよ。
あ、僕はダメだよ。僕は前に言った通り、ハントされちゃう側だからね。
でもレイちゃん2人なら何とか。
て、こんな真面目な解説をするのは公共放送のコメンテーターに呼ばれたときだけでいいんだよ!
見ろ、あの、金髪の方のレイちゃんを。
着ている。あれは……巫女服だー!
いったいどんな心境の変化があったんだ……? いやそれとも今まで着ていなかっただけ?
若干倭の先進的な文化を取り入れた所謂ファッション系の概念が組みこまれているのは人によってはけしからんと思うかもしれない。
だが時代は変化するもの。僕はその変化を受け入れるのさ。
らしくない格好いいこと言うなって? それはそう。
だけどこれはレアなところだぞ、ぜひ写真に収め……。
「何をしている?」
ヤバイ、あれは反逆軍の。
「なるほど、ストーカーか、こんな夜遅くに……死んでも知らんぞ。ほら、こっち来い! 良い子はお休みの時間だ。大人も見本になれ」
「待ってくれ、僕は――」
ああ、またこの展開か。せめて、あの姿を1枚だけでも――。
鬼と一緒にいるあの子のことを知れるいいチャンスなのにー!
「サブストーリー レイとのデート①」 8月27日から投稿予定
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