おわりに

参考文献

 最後に参考書籍を挙げておきます。

 冒頭でも書いたように、結局いじめに関する本はほとんど読んでいません。

 一見いじめとは無関係ですが、役に立ちそうな資料を挙げておきます。


岡田尊司『パーソナリティ障害がわかる本「障害」を「個性」に変えるために』法研(2006)

市橋秀夫『心のお医者さんに聞いてみよう 自己愛性パーソナリティ障害 正しい理解と治療法』大和出版(2018)

和田秀樹『壊れた心をどう治すか―コフート心理学入門Ⅱ』PHP新書(2002)

和田秀樹『〈自己愛〉と〈依存〉の精神分析―コフート心理学入門』PHP新書(2002)

 リーダー格の加害者は、自己愛性パーソナリティ障害傾向が多いと思われます。また教師にこの傾向があると、加害者に肩入れして、いじめ対応が困難になります。自己愛性パーソナリティ障害の治療は『共感』することです。クライエントは外面的には傲慢、尊大なのですが、その内面は不安感、恐怖感、そして孤独感に満ちています。『直面化』ではなく、実は支えてやることが必要なのです。自己愛性PDは、実は簡単にコントロ―ル出来ます。


D・カーネギー『人を動かす』

 自己啓発書の走りにして、古典的名著です。

 相手を褒める、認めることで、相手の心を開き、信頼関係を築くことが出来る。

 こちらも、加害者のコントロールに役に立つでしょう。


フレデリック・フォーサイス『ネゴシエイター』

 世界的ベストセラー小説にして、交渉人ブームの先駆けでもあります。交渉人の本は他にも新しいものがたくさんありますが、これは自分の好みです。

 いじめ対応は、交渉に近いものがあります。相手の信頼を勝ち取り、心理をコントロールして事件を解決に導く。

 日本の警察にも交渉人がいるようですが、未だに『説得』と『交渉』の違いを認識出来ていないように見えますね。


 『いじめ』の専門家はと聞かれて、すぐに名前を挙げられる人は、まずいないでしょう。教育評論家や精神科医が片手間に本書いてる印象しかありません。いじめの本で一番売れてるのが、中野信子さんというのも問題だと思います(これはこれで面白い)。研究者が論文書いたりもしているんでしょうが、現実の対応策は三十年間進化していません。調査研究体制の見直しから考える必要があるかもしれません。大学ごと、研究者ごとにバラバラにやっているものを、文科省主導で統合して、研究機関、チームを創設して、現実の施策に反映出来るようにするべきではないでしょうか。いじめ学会を創設するのも一案です。


 文献はまだまだたくさんありますが、今回はこのくらいにしておきます。

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