第2話 宴会の後

「いやー昨日は喰った喰った!」




件の狼退治の翌日、わたしは団長の言いつけ通り、冒険者ギルド本部の待機所にまで足を運んでいた。


「昨日の宴会で出たローストビーフは最高だったなぁー!グラタンもいける!デザートのフォンダンショコラもサイコー!」




昨夜の宴会で出た料理の味を思い出しながら、わたしはご機嫌な足取りで待機所までの階段を上る。


まだ未成年なので酒は飲めないが、代わりに出てくる料理を皆があきれるくらい喰いまくった。


おかげで腹がパンパンだ。




「ますたー、たべすぎ、よくない。」


わたしの後ろをふよふよと付いてきていたステラが、苦言を呈する。




「だ~いじょうぶだって、あれくらい!わたしは食べ盛りの育ちざかりなんだから!食える時に喰っとかないと!他人のおごりならとくにね!」




お腹をポンポンと叩きながら、待機所までの廊下をすたすたと進む。


途中で、制服姿の若い女性とすれ違う。


受付嬢のサンディさんだ。




「おはようございます!サンディさん!」


「あら、ドロシーちゃん、おはよう。今日も元気がいいわね。ステラちゃんもかわいいわね。おはよう。」


サンディさんはにこやかに笑うと、ステラに向かって手を振る。


「おはよー、さんでぃ!」


ステラも小さな手を振り、サンディさんに挨拶を返す。




わたしが使役する人形のなかで、ステラとレオナはここの女性職員にとても人気がある。


特にレオナに至っては勝手にファンクラブが作られるほどの人気っぷりだ。


(なお、なぜかロボ美はあまり人気がない様子である。)




「ドロシーちゃん、団長さんが待機所でお待ちよ。何かお話があるみたいだけど。」


「えぇ、聞いてます。今から向かうところですよ。」


それじゃあと言ってその場を立ち去ろうとする。しかし……。




「あの……、ドロシーちゃん……。」


サンディさんに呼び止められ、振り返る。


声色にどかか不安げな色が浮かんでいる。いったいどうしたのだろう?




「……?何か……?」


「……ドロシーちゃん、団長さんに何を言われても、あまりきにしないでね?」


「?わかりました。」




それじゃあねと言ってサンディさんは廊下をスタスタと歩いて行った。


サンディさんの言葉を心の中で反芻しながら、待機所までの廊下を突き進む。




何を言われても、とはどういうことだろう?


先日の戦闘で何か失敗をしたのだろうか?


自分で言うのもなんだが、味方への支援は完ぺきだったはずだが……?




あれこれ考えているうちに、待機所のドアの前に到着してしまう。


まぁ、いいや。団長に直接聞けばいいだけの話だし。




わたしは呼吸を整え、ドアをノックした。


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