親父はコロナではなく医療崩壊に殺された。それでも親父は最期に僕を三度救ってくれた。

けーすけ

はじめに



 このエッセイの内容はほぼすべて実話(ノンフィクション)です。


 舞台は兵庫県、神戸市です。登場するのは僕の家族です。


 新型コロナの第四波で、大阪、兵庫では深刻な医療崩壊、保健所崩壊が起きました。その中でも兵庫県、神戸市は、第四波で緊急事態宣言が出された自治体のうち、新型コロナの死亡率がワースト1位になった自治体です。


 その中で父は亡くなったのですが、この手記は、父が途中で退院できそうなレベルに快復した頃に書き始めたもので、当初は励ましてくれた方々へのお礼の手記の予定でした。ところが、一転して父は亡くなりました。


 二度とこのような惨事は起きてほしくない、という思いから、当初の予定を変更してこのような趣旨の手記に変わりました。(父に対する思いから、ただ書きなぐった面も多々ございましたが)


 第四波当時は、新型コロナの予防や、陽性になった場合にどのような流れになるのか等の情報は世にあまた出ていましたが、家庭内感染した場合(特に陽性になる時期に時差、タイムラグがある場合)や、保健所崩壊、医療崩壊が起きている場合については、比較的情報が少なかったと記憶しています。


 ですので、掲載当時は我が家の経験がだれかのためになればという思いも強くありました。


 ですが、第五波では、首都圏を中心に第四波を上回る医療崩壊、保健所崩壊が起きました。自宅療養中に家族が亡くなった方の報道等を多数耳にしたとき、他人事とは思えず、また同時に、第四波の惨状をみても動けない、新型コロナ対策の方針などを修正できない国や自治体に歯痒い思いもしました。


 僕は政治的には中道、中立的な立ち位置なので、本手記の掲載に政治的な意図はありませんでしたし、むしろ、第一波から新型コロナで過度に煽り続けたマスコミの報道姿勢や、効果が薄い中途半端な自粛政策などに不満がありました。実際、知人の事業主が2020年4月に、コロナの自粛政策で事業の継続が困難になり自ら命を絶っています。父を亡くした今でも、できるかぎり経済をとめないようにすべきだとの思いは変わっていません。


 ただ、この度の経験で、自治体の首長(知事、市長など)を選ぶ際に、有権者が本当に真剣に考えて選ばなければならないと改めて痛感しました。特に有事の際、大切な人を守れるよう、責任をもって必要な対策をしてくれる人を選ぶべきだと声を大にして叫びたい気持ちが今も強くあります。


 この手記を読んでくださった方々にとって、「さざ波レベルの感染者数で医療崩壊する我が国の脆弱な医療体制」について、ひいては「家族や大切な人を守るためにどのようなリーダー、首長(都道府県知事、市町村長)を選ぶべきか」について考える契機になれば幸いです。

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