理央・昊誓 7歳
「なら、お隣の理央ちゃんと一緒に行ってくればいいじゃない。」…確かこのちょっと前俺が駄々をこねったんだっけ。俺の親は二人とも忙しいのにお祭りに行きたい、けど一人では行きたくない。そんな感じに。
そんな駄々をこねてた俺には親の提案が魔法使いがくれた糸のように思えたんだっけ。今思えば魔法使いがくれた糸ってなんだよって話だけど。
「理央ちゃんー。お祭り行こー。」この時はまだインターホンという概念を知らなかったから大声で理央の事を呼んだら理央の親が先に出てきて焦ったけど優しくて好きだったから内心喜んだっけ。
「どうしたの。理央に用事?」
「なにしにきたの?」この時はまだ小学生になった年のはずだから理央の呂律が悪い。俺の記憶に残ってないだけでもしかしたら俺も呂律が回ってないかもだけど。
「お祭りに行きたくて理央ちゃんを誘いに来ました。」
「あら、理央。昊君が誘いに来てくれたよ。行ってくれば?」
「うん、行こ。」理央はこの時から誰よりも行動力があって俺が誘ったのに俺より先に行くことが何度もあった。お祭りの規模が小さいといっても小学生だった俺たちに取っては未知の世界でここだけで完結する様な大きな世界だった。
たこ焼き、わたあめ、射的、色々な屋台があったけどこの頃の俺は食べ物の屋台が何よりも特別なものの気がしてゲーム系屋台そっちのけで食べ物系屋台を見て回ったな。ラムネの量が多くて飲みきれなかったり、フランクフルトの割りばしが邪魔で嚙んでたら理央に食べ方を教えてもらったり。
縁祭りで最も金がかかってるであろうメインの花火は二人で神社のお賽銭箱の横で座りながら見てみたり。この年だけでも思い出がいっぱいある。
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