過去に戻って最強を目指す
ハル
第1話 スキル獲得
Fランク『角兎ダンジョン』十階層。
そこには、十体を超えるホーンラビットの死体が転がっており、残りはたった三体。
「はあっ!」
ザシュッ!
振るった剣がホーンラビットの首を切り裂いた。
血を吐き出しながら倒れていくのを尻目に、残りの二体に襲いかかる。
「きゅうっ!」
「きゅううー!」
「遅い!」
二体は連携しながら攻撃してくるが、俺には通用しない。
これでも一応、ハンター歴は五年だ。
この程度の攻撃は、嫌というほど見てきた。
「これで、トドメ!」
攻撃をかわした後、俺はそのまま二体の首を剣で落とした。
倒したホーンラビットを解体して、魔石を取り出したら俺はいつものように奥に向い、大きな扉の前で止まった。
「今日もここのボスを倒すか!」
俺は意気揚々とボス部屋に入り、剣を構えた。
「あれっ?なんかいつもより八メートル大きくないか?」
そこに現れたのは体長十メートルを持つホーンラビットだった。
いつもは体長二メートルなのに対し、今日のホーンラビットは十メートルという大きさだったのだ。
「なんかいつもより五倍ほど大きいな」
「ぎゅうっ!」
そう呟いた瞬間、ホーンラビットが突進をしてきた。
ホーンラビットの突進はただ前に突き進むだけなので、冷静に見ればかわせるのだ。
「ふんっ!」
ホーンラビットの突進をかわし、そのまま剣を一直線に落とし、首を刎ねた。
その瞬間、脳内にアナウンスが響いた。
『初心者ダンジョンを初回百回達成しましたので、報酬が与えられます。また、次にこのダンジョンを一万回クリアした者が現れても報酬は与えられません』
ボス部屋の天井から一枚のカードがヒラヒラと落ちてきた。
「ええっ!!こ、これって!!もしかして……スキルカードか!!」
落ちてきたのは、発生率がめちゃくちゃ低いスキルカードだった。
スキルを獲得する方法は全部で三つある。
一つ、SPを使いスキルを獲得する方法。
二つ、訓練や生活をしていると獲得する方法。
三つ目がスキルカードだ。
スキルカードとは、カードの中にはスキルが入っており、見て念じるだけでランダムでスキルを獲得できるという優れものなのだ。また、確率がめちゃくちゃ低いので、売ったらどのようなカードでも百万は絶対に行くのだ。
俺はスキルカードを手に取り、どのように使うかを考えた。
「うーん、どうしようか。売るか、自分で使うか、とても迷うな〜。うーん……決めた!自分に使おう!」
スキルカードを見て念じると脳内に先程と同じ声のアナウンスが響いた。
『固有スキル 【死に戻り】を獲得しました』
固有スキルの獲得方法はスキルの獲得よりもさらに難しい。固有スキルの獲得に一番関係するのは才能であり、先天的に持っているか、スキルカードで入手するしかないのだ。
「固有スキル!?でも……【死に戻り】?どんなスキルなんだ?確認してみるか″ステータス″」
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SP:20 BP:0
体力:20/20 魔力:25/25
攻撃:27
耐久:19
速度:30
知性:29
精神:24
幸運:25
〈固有スキル〉
【死神】【死に戻り】NEW
〈スキル〉
【剣術レベル3】【身体強化レベル2】
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固有スキル【死に戻り】
過去逆行:死亡時の1日から7日の間をランダムで戻る
──────────────────────────
「なっ!……こんなのもう不死身と一緒じゃないか!しかもこの固有スキルがあれば、もう一つの固有スキル【死神】を使えるようになる!」
固有スキル【死神】は死亡時、自分以外が俺を殺した時相手のスキルの中で一番強い能力と魂を刈り取るスキルだ。だから俺が誰か、例えばSランクハンターのような強い人に殺されれば、相手の一番強いスキルを獲得した上で過去に戻れる。そうなれば、俺はいずれ最強になれるかもしれない!
そして、俺の家族も助けてられるかもしれない!
そうと決まれば強くなり、過去に戻って高校生一年生からやり直そう。
◇ ◇ ◇
俺は今、日本最強ギルド【栄光の剣】が入っているというダンジョン前にいた。
日本最強ギルド【栄光の剣】は
どのSランクハンターもとてつもなく強く、Aランクダンジョンの下位なら一人でも攻略できるほどなのだ。
最強ギルド【栄光の剣】はこのダンジョンを攻略した後、ダンジョンからリーダーのSランクハンター剣島光が出てきて、インタビューの時に俺が襲って俺を殺してもらう!
剣島光の固有スキル【剣聖】はとても強力だ。聖に関するスキルはどれも強力で、剣術<剣鬼<剣王<剣聖の順で強い。その中でも聖に関するスキルはSランクハンターになれるほどの可能性を秘めている。
そして、その固有スキルを使いこなしているのが剣島光だ。
二時間後、ようやくギルド【栄光の剣】が出てきた。
栄光の剣の先頭には、Sランクハンターの剣島光が歩いて、周りの記者や女性たちに手を振っている。
剣島光はとても優しく人気がある。だが、裏では傲慢で短期なやつらしい。敵意や殺意を持つ者には、一切の手加減がないのだ。
なので俺は殺され魂を刈り取るのは、剣島光しかいないと思ったのだ。
そしてついに記者たちのインタビューの時間になった。
俺は殺される覚悟を決め、剣で突き刺しに行った。
「はあああっ!!」
剣島光はこちらに視線を向けて、回し蹴りをかまし吹き飛ばした。
吹き飛ばされた俺は一気にビルの壁に激突し、息が一気に吐き出された。
「かはっ!!」
「「「キャーー!!」」」
薄れゆく意識の中で、そばにいた記者や女性たちの悲鳴が聞こえた。
だが俺は他のことに意識を向けていた。
『対象の死亡が確認されました。剣島光の魂を刈り取りました。固有スキル【剣聖】を獲得しました』
命が消えていく中で、俺はニヤリと笑った。
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