ゆめのはなし

ナメクジ

 ナメクジ型の未確認生物を人目を忍んで育てる夢を見た。手の平に収まる大きさのケースにおが屑と一緒に入れ、餌はやや小さいナメクジが一匹。もりもり食べて大きくなってると思ったら気づけば私が与えた覚えのないコオロギや謎の昆虫がケースに入っていてもりもり食べ、勝手にナメクジは成長していた。ちょっと待てと呼びかけるもナメクジは見る見るうちに成長し小さなケースを押し上げ外に出てしまった。

 慌てて周囲を探す。テーブルには複数の水槽。海の生き物が入っているものや子犬と子猫が二匹ずつ入ってるものがあった。そこに紛れ込んでないかと探しているとおもむろに犬と猫が共食いを初めて周囲は騒然とした。突然凶暴化して互いが剥き身になっていく彼らの姿が見るに堪えなかったので目を背けるも、最後に残った一匹は異常な食欲に駆られて自身を食い出すのかなと私は薄々感づいていた。

 結局ナメクジは見つからなかった。

 その後街を歩いていると後ろから呼ばれた。姿は見えないが、何となくあのナメクジだとわかった。

 何で逃げ出したんだよと問いかけると「仕方ないだろ、僕は液体になっちゃったんだよ。床の隙間から下の階に落ちちゃったんだ」とナメクジは言った。私は納得する。じゃあ犬猫が共食いしたのは何で?と聞くと、ナメクジははにかみながら口ごもった。隠し事が見つかって照れくさそうにする子供みたいだった。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る