第9話 友田さんは……?
どうも皆さん友田優子です。
今日は珍しくお昼休みなのに矢田ちゃんと刹那くんが教室にいます。
この二人、なぜか人前では一緒にいるところを見ないけどなんでなんだろ?
「(矢田さんと一緒にいたいけど、他の人に知られるのは照れくさいしなぁ…… あとは、矢田さんが人見知りだから余りイジラレるとストレスになりそうだから黙っとくか)」
「(普段の刹那くんもかっこいい……! あ~~、私といるときの刹那くんの優しさは私だけだと実感できるから遠くで見るのすごい楽しい!! 私だけの…………!)」
刹那くんはクラスメイトの男子と話していて、矢田ちゃんは私の席に居るんだけど刹那くんをじっと見ていて会話になっていません。
ふと、刹那くんの話し声が聞こえてきました。
「えぇ! 刹那、すごい可愛いじゃん!」
「(何の話だろう?)」
不意に入ってきた会話が気になり、耳を傾ける。
「ははは、そうでしょ。お尻のあたりとかなでるといい声で鳴くんだよ」
「!?」
その言葉で友田優子の頭の中が桃色一色となってしまう。
もしかしてあれが猥談というものなのだろうか。
「いやー、上に乗るのが好きみたいでさー。その状態でよく舐めてくるんだよねー……」
「(……!? 上に乗って舐める!? え? え? どういうことなの? 矢田ちゃんがそんな大人の階段どころかエレベーターで昇ってるだなんて……)」
「おいおいー写真とかないのかよー」
「(写真!? ア、アブノーマルすぎる…… これはさすがに矢田ちゃんも怒っているんじゃ……)」
矢田玲子の顔を恐る恐る覗き込む。
矢田玲子は口をだらしなく開き、よだれが垂れており人に見せられるような顔じゃなかった。
心なしか瞳にハートが写っているように見える。
「でへへ……かっこいぃ」
「(えぇ!? どういうこと? プレイ? そういうプレイなの!? もう大人の階段がエレベーターに変わるどころか、ロケットで成層圏ぶち抜いてない!?)」
あまりの衝撃的な内容に混乱してしまう。
だが、すぐそばの友人のだらしない顔が目に入り、考えが固まり始める。
軽く息を吸い込み覚悟を決める。
先ほどまで揺さぶられていた心は自分でも驚くほど静まっていた。
矢田玲子の顔を元に戻した後、ゆっくりと彼のもとへと歩く。
大切な幼馴染で友人のために、節度のある付き合いをしてもらうようにという旨を伝えるのだ。
刹那秀登はこちらの気も知らず、のんきにしゃべっている。
彼の目の前に立ち、思いの丈を吐き出そうとする。
「あの……!」
「あ! 友田さんも見てみてよ! 刹那の家の猫スゲーかわいいからさ!」
「……猫!?」
「僕の家で飼ってるんだけど最近特に甘えるようになってきてね。友田さんは猫好きなの?」
あまりの衝撃に声が一瞬上ずってしまう。
その後、自分の想像が間違っていたせいか恥ずかしく赤くなってしまう。
その場では何とか会話を取り繕うしかできないのだった。
「(あれ? 友田さんあまり話に乗ってこないけど猫あんまり好きじゃないのかな?)」
「(は、恥ずかしすぎる……。)」
「(刹那くんと優子ちゃん仲良くなれたら3人でどこかいっしょに行けたりできるかな?)」
三者三様、まったく別のことを考えていたのだった。
友田さんはむっつりです。
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