第149話 閑話 元精霊王5

リリスは、再度槍を構えて次の精霊術の準備を始める。


『臭うので、汚い口は閉じてください…。このッ!糞ウジ虫がぁぁぁぁぁぁッ!』


”…精霊術-光槍彌流-…”


リリスの周囲に無数の光の短槍が現れ、残った左半身に降り注いだ。


…な、なぜ?こんなに僕のことを憎んでるんだ?…


…ちょっと裏切っただけだろ?…


『ブシュゥゥゥゥゥゥ…。うぅ…リ…リ…スな…の…か…?』


…再生が追いつかない…


…ここは精霊力を多めに消費してでも、身体の再生を優先させるか…


身体の再生速度を上げていると、また聞き覚えのある重厚感のある声が聞こえた。


『おいッ!みんなズルいゾイッ!ワシの分も残っているのかぁぁぁ?…おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…貴様は、まさにッ!あの時、嬉々とワシらを裏切ったクズッ!!!はぁはっはぁぁぁぁぁぁぁッ!ノコノコ現れおってッ!ワシらがどれだけ貴様に会いたかったことやら…。まぁ、昔を懐かしんでも仕方あるまい…。早速、再開を楽しむとするゾイッ!』


…こ、この声は、ノーム?…


…な、なぜ、精霊がこんなに集結しているんだ?…


ノームは、金槌を勢いよく地面に叩きつけると地面が隆起し、巨大な拳を型どった岩石が天高くそびえ立った。


”精霊術-天岩拳骨衝-”


巨大な岩の拳は何度も再生かけている身体を地面に打ちつける。


『ノ、ノームまでぇぇぇぇぇッ!ギュギャッ…ギュギャッ…ギュギャッ…ギュギャッ…ギュギャッ…ギュギャッ…………


…な、なんだッ!?ノームも消滅させたはず!?なんで、コイツも精霊術まで使える状態でここに居るんだ!?…


…どいつもこいつも憎しみを込めた目で睨んできやがる…


…ちょっと裏切っただけで大袈裟なんだよ…


…それに、精霊王に従うのは当たり前だろ?…


…お前達はただの駒でしかないんだから…


再生に使う精霊力が減っていき、再生スピードが落ちていく。


ふと、ノームの背後に目を移すと、怒りの形相のおびただしい数の精霊達の姿が見えた。


『『『『『『次は俺(私)の番だ(わ)ッ!』』』』』』


精霊達は順番待ちのための列をつくっていた。


…い、一体、何が起こってるんだ?…


…こんな憎悪…


…精霊王に向けて良いはずがない…


…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る