第138話 “意地悪”の大罪武器

気づくと、死神モードのコウスケだけが取り残されていた。


(いつの間にか、モグ太郎達まで列に並んでる…。モンタなんて、例の椅子に座って常連さんみたいなならび方してる…。)


『な、なによ、あれは?順番待ちになってるじゃない?コウスケッ!早くならぶのよッ!とどめを刺すのは私達なんだからッ!』


『そうじゃぞッ!コウスケッ!早くするのだッ!こうしているうちにも、列が長くなっていっておる。』


コウスケは、死神モードのまま静かに列の最後尾に進むと、列の中央部から声が聞こえた。


“食王様ッ!この忠臣グラトニーが場所取りをしておりましたので、どうぞこちらへッ!もっと前の列を取りたかったのですが、妙に殺気立った精霊達に先を越されてしまいました。でも、食王様のために苦労して勝ち取った場所ですッ!”


列にならんで場所取りをしていた斧形態のグラトニーが体を使って手招きをしていた。


スピネルとクロンがグラトニーを労いの言葉をかける。


『おぉッ!グッジョブよ!グラトニーッ!』


『おぉッ!でかしたぞ!グラトニーッ!』


しかし、グラトニーが冷たく言い放つ。


“何を言っているのですか?あなた方は、最後尾におならびください。アイツにとどめを刺すのは食王様と私なのですッ!”


『『……………………………。』』


グラトニーの言葉によって、静寂の時間が流れた。


『…本性を現したわね、グラトニー。もういいわ。コウスケ、最後尾にならびましょう。プイッ。』


『フム。仕方ない。最後尾にならぶとするかのう。コウスケよ…、なんとも心の狭い忠臣を持ったのう…。』


(みんな、殺気立ってるからスルーしよう…。別にとどめなんて刺したくないし、最後尾で全然問題ないけど…。)


コウスケはため息をつきながら、再び死神モードのまま最後尾に進むもうとする。


“じょ、冗談に決まってるじゃないかッ!みんなでアイツにとどめを刺そうではないかぁぁぁぁッ!”


グラトニーは慌ててコウスケ達を引き留めて場所取りをした所に招いたが、スピネルとクロンの機嫌は直らなかった。


『ったくッ!最初からそういえばちゃんと感謝してあげたのにッ!バカぁッ!』


『そうじゃッ!お主、本当に“暴食”の大罪武器か?“意地悪”の大罪武器なんじゃないかのう?まぁよい、とりあえず感謝だけはしておくとするか。』


(グラトニー、みんな殺気立ってるから迂闊なことは言わない方がいいぞ…。)

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