第117話 暗黒スキル

“あら~ん♪惹王様ぁん♪どうなさったのぉん?はは~ん♪ワタクシの魅力の虜になったのねぇん♪ワタクシは、なんて罪なオ・ン・ナ♪”


「……………………。」


『ま、魔王様、も、申し訳ありません。い、今、排除しますのでッ!』


黒は慌ててラストを別の影空間に移そうと試みる。


“もう♪レディに対する扱いがなっていないわねぇ♪ここの影空間は少しだけ支配できるようになったからムダよん♪さぁッ!惹王様ぁん♪ワタクシと契約しましょん♪”


ラストは周囲の影を操りながら、黒の影を振り払った。


(グラトニーの話だと、ラストの能力は空間支配だったな。すると黒の影空間も支配されたのか。)


『貴様は、魔王様のお側には相応しくない。品が無さすぎるうえに、著しく礼を欠いていてる。そんなヤツが、影の空間を支配しただと?笑わせるなッ!下郎がぁぁぁぁぁッ!』


影は、より暗い暗黒空間に切り替わり、ラストはジワリジワリと侵食されていく。


“な、何よ、何よん?この影空間は「ドミネーション」で支配したはず…。ど、どうして押し返されているのん?”


『魔王様に御会いする際には、まず平伏しなくてはならない。いや…真の臣下は平伏せずにはいられぬのだ。そればかりか、自分の名を名乗りもしない貴様には魔王様との契約はおろか謁見することすらできぬ。身の程をわきまえるまで暗黒空間で過ごすがよい。』


ラストは完全に暗黒空間に飲み込まれようとしていた。


“ま、まってちょうだ~い………。………お、お前たちドラゴンの基準で考えるじゃねぇっつ~のッ!ワタクシ達大罪武器にだって意地があるのんッ!確かに、礼を欠いていたことは認めるわッ!でも、でもねッ!譲れないものがあるのッ!それは“愛”ッ!“愛”なのよ~んッ!惹王様に対するワタクシの“愛”、それだけは誰にも否定することはできないッ!うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!いっくわよぉぉぉぉッ!「ドミネーション」ぜんか~いぃぃぃおいぃぃいいきいいいぃぃぃおいおいぃきいきききききういういしゅわわわえあさわっわわわわ……………”


ラストは完全に暗黒空間に飲み込まれた。


『魔王様、誠に申し訳ありませんでした。追跡は抜かりなく進めておりますので、目的地にたどり着くまで、おくつろぎください。』


(黒は影帝龍に進化したことで暗黒スキルも使えるようになったか…。しかし、色欲の大罪武器…ある意味で恐ろしいヤツだったな…。)

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