第91話 紅い流星のゴブライオス
『親父ぃぃぃッ!いい加減目ぇ覚ませよッ!恥ずかしいだろうが…ったくッ!』
赤ゴブが赤い顔をさらに赤くしながら脛を蹴ると、ブルーダは意識を取り戻した。
『…ハッ…。我王様ッ!エンヴィー様の御言葉は本当でございますか?』
「うん。“赤ゴブ”という二つ名で呼ばれて大活躍してるよ。赤ゴブの解析能力は一級品以上だからね。」
『“紅ゴブ”…。』
(…そうだよね。息子が赤ゴブリンって呼ばれてたら、いじめられてるか心配になるよね。もう少し丁寧に説明して理解してもらえないようであれば、赤ゴブって呼ばないようにみんなを説得しよう。)
ブルーダは震えながら、コウスケの手を握った。
『我王様ッ!このような愚息に悪魔族の英雄“紅い流星のゴブライオス”様の略称を偉大なる我王様よりお与えいただくとはッ!我が一族始まって以来の快挙ッ!誠に…誠に…ありがとうございます…。』
「『“。………………。”』」
(…“紅い流星のゴブライオス”…。)
悪魔達の治療を終えたモンタがやって来て、コウスケの肩の上に乗り移り、ブルーダの勘違いを訂正しようと話し始める。
『何言ってるんだッ!紅い流星のなんちゃらなんて訳わかんねぇヤツの名…もご…もご…。…う、旨いッ!コウスケッ!なんだ?このクッキーは?!クッキー生地にキャラメルがコーティングされていてナッツ類がのせてあるッ!…ッ!さらには…キャラメルと一緒に煮詰めたナッツ類がサンドされてやがる。モグモグ…、チクショウ、チクショウ…これは究極の悪魔の食べ物だぜ…。』
空気を読んだグラトニーが、懐に隠し持っていたコウスケ特製のフロランタンをモンタの口に放り込み即座にフォローする。
“新たな配下の悪魔達よッ!シュバルツは偉大なる食王様兼我王様より“紅ゴブ”の名を賜ったのだッ!喝采して祝福せよッ!”
…うおぉぉぉぉぉぉぉッ!…
赤ゴブも何を勘違いしたのか涙を流して喜んでいた。
『…うぅ…。俺っち…てっきり赤ゴブリンの略だと勘違いしておりやしたが、“紅い流星のゴブライオス”様だったなんてぇ…、若旦那ッ!親分ッ!ありがとうございますぅぅぅぅぅぅぅぅッ!』
あまりの迫力に押されたモンタは肯定することにした。
『…お、おうッ!…あ、悪魔族の英雄“紅い流星のゴブライオス”、めっちゃ紅いよなッ!』
(…何が?)
グラトニーが勝ち誇ったようにエンヴィーの顔をみると、子犬のようにコウスケに駆け寄る。
“食王様、これでよろしいでしょうかッ?”
あまりの迫力に押されたコウスケも肯定することにした。
「う、うん。…“紅い流星のゴブライオス”…めっちゃ紅いよね。」
(悪魔族の英雄“紅い流星のゴブライオス”…恐るべし…。)
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