第90話 フリーズ
エンヴィーの配下達が待機している場所に着くと、リーダーと思われる執事風の悪魔が深く頭を下げたあと、エンヴィーを見て微笑んだ。
(できる執事って感じのヒトだな。スキルも礼儀作法・交渉・指揮・管理・秘書…なんかの補助系が多そうだな。)
『エンヴィー様。その御様子ですと、ようやく出逢えたのですね。』
エンヴィーは頭をかきながら気恥ずかしそうに頷いた。
『おうッ!この御方が正真正銘の我王様だぜぃ!』
それを聞いた悪魔達が一斉に歓喜した。
そして、執事風の悪魔がコウスケの顔を見つめてから静かに跪いた。
『我王様。私、この者達の代表のブルーダと申します。突然の申出で大変恐縮なのですが、私どもを我王様とエンヴィー様にお仕えさせていただくわけにはいかないでしょうか?我々を救っていただいたこの御恩をお返ししたいのです。』
(…す、すごい…。みんな使い込まれた職人道具を持ってる…。生産系のスキルや称号も豊富に持っているし、赤ゴブといい、なんでこんな優秀なヒト達が冷遇されるんだ???)
コウスケは即答した。
「こちらこそ、お願いします。」
あまりに即答だったため、断られたと勘違いしたブルーダは食い下がるように懇願する。
『…戦闘よりも生産系に特化している者が多いですが、決して戦闘ができないというわけではありませんッ!何とぞ、我々を配下に加えてくださいッ!どんな仕事でもこなしてみせますッ!』
「ありがとう。じゃあ、部屋割りと片付けが終わったら、料理スキルを持っている方は俺と昼食の準備をするよ。それと、農業スキルを持っている方は農園に、鍛冶スキルを持っている方は鍛冶工房に、芸術スキルを持っている方はアトリエにそれぞれ案内するから道具等の使い勝手をとか確認しておいてね。おぉッ!君は掃除スキルを持っているの?生活魔法で掃除するよりも掃除スキルで掃除する方がキレイになるだけでなく付加効果が出るときがあるから本当にスゴいスキルだよね。俺よりも高レベルの掃除スキルみたいだからどんな付加効果がでるんだろ?…うん?」
ブルーダが驚きの表情を浮かべたままフリーズしていた。
エンヴィーは嬉しそうにブルーダの背中を叩く。
『我王様は本物の価値をちゃんと分かってるんだぜッ!シュバルツのヤローも、ここでは部下持ちの幹部扱いだしなッ!』
ブルーダは更にフリーズした。
『役立たずと蔑まれ続けた”息子”が部下持ちの幹部………………。役立たずと蔑まれ続けた”息子”が部下持ちの幹部……………。役立たずと蔑まれ続けた”息子”が部下持ちの幹部……………………………。役立たずと蔑まれ続けた”息子”が部下持ちの幹部ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……………………………。』
「『『ブルーダが赤ゴブの父親ッ!?』』」
衝撃の事実にコウスケ達もフリーズした…。
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