第38話 ダンジョン連合

≪マスター。交渉役の眷属から連絡がありました。ダンジョン連合の使者を名乗る者は、ランクエラーの”ドロップなし”の設定の解除を求めているようです。解除しなければ、3時間後にダンジョンを破壊するとのことです。≫


(ランクエラーの“ドロップなし”は、何百年も前から設定されていたはずだし、ごく少数だか“ドロップなし”を選択しているダンジョンもある。このタイミングで、解除を要求してきたことは、ダンジョンマスターの交代があったからと考えるのが自然か。ここで、要求を受け入れても、今後ドンドン要求がエスカレートしていくことは必至だな。)


「ダンジョン連合ってなんだかわかる?」


≪使者の話だと、ジュゼ王国にあるダンジョンマスターが協力してできた組織だそうです。≫


「ダンジョンを破壊するとは、なにを指していると思う?」


≪単純にダンジョンマスターの殺害又はダンジョンコアの破壊かと思われます。方法は、現状のまま単純にモンスターや眷属を送り込む方法とダンジョンバトルを申し込んでダンジョンシステムを使う方法がありますが、今回の場合は後者でしょう。≫


「彼らは、このダンジョンを破壊することはできると思う?」


≪敵の戦力がわかりませんので、確実ではありませんが、難しいと思われます。このダンジョンは、以前よりも防衛力が格段に上がっていますので、ダンジョンマスターが交代したタイミングで攻めてくることしかできない輩に負けるとは考えられません。≫


(ダミアンもかなり学習してるな。ランクエラーのバックアップダンジョンは完成してるから、いざというときはみんなを連れて逃げることができるし、ここはいったん無視するとしよう。頭のおかしいヒトとは関わらないのが一番だから。)


「交渉役の眷属には、要求を断るように伝えて。激昂して襲ってくるようであれば、ダンジョンの外に叩き出しておいて。」


≪了解しました。マスター。≫



…………



≪マスター。予想どおり、激昂し敵対行動をとりましたので、捕らえて情報を引き出してから、ダンジョンの外に叩き出しました。ちなみに、首謀者はランクエラーに最も距離の近い“嘆きの墓場”のダンジョンマスターだそうです。≫


(はぁ。情報をしっかり引き出してくれたのね…。それにしても、ダンジョンマスターになってまでご近所問題に巻き込まれるとは思わなかった…。ダンジョンマスターって孤高の存在じゃなくて、“掟”に縛られる村社会の一員だったのね。くだらない…。)


「ダミアン、ダンジョンバトルについて、詳しく教えて。」


≪ダンジョンとダンジョンを時空間で繋いで制限時間:24時間内に攻め合うものです。特にルールは存在しないようです。ダンジョンバトルを挑まれたら、基本的に拒否はできませんが、ダンジョンバトル後半年間は拒否することが可能です。≫


(今回は、複数のダンジョンと一方的に繋がれてボコられるわけね。…やれるだけやってみますか。)


「ダミアン、みんなに状況を説明しつつ、防衛パターンFで準備をお願い。」


≪了解しました。≫



……


…複数のダンジョンよりダンジョンバトルを挑まれました…これより24時間…ダンジョン間を時空間にて接続します…


……



「ダミアン、接続された敵のダンジョンの数は?」


≪3つです。ジュゼ王国には5つダンジョンがありますので、全てのダンジョンが参加したわけではないようです。≫


「こちらの準備状況は?」


≪ユニ様とモンタ様は、ダンジョンが接続された瞬間に合わせて、作戦どおりに入口を岩石と壁で封鎖した後、クロン様と合流しました。クロン様とブレイブ、アーチャーは突入に向けてコアルームで待機しております。その他の部隊は、警戒レベルを引き上げて万全の体制で各階層を守護しております。≫


「よし!防衛はダミアンに任せた!俺とクロンは“嘆きの墓場”、ユニとモンタは“妖精の森”、ブレイブとアーチャーは“流砂の洞窟”に突入する!」


ダンジョン連合との戦いが始まる。

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