第25話 閑話 ~因果応報3~

「なんですって!?捜索に向かわせた騎士団の精鋭100人が全滅!?希少アイテムを含む物資もすべて喪失!?隷属していた≪時空間の精霊≫も行方不明!?」


ジュゼ王国に騎士団全滅の凶報が伝えられ、捜索を命じた第一王女は頭を抱えていた。


(あり得ない…。王国の精鋭と国宝級アイテムをつぎ込んだのよ。失敗する筈がない。何かの間違いよ。)


「姫様、失礼します!騎士団長が一人で城に戻って参りました。いかがいたしま…グヒュッ……」


慌ててやって来た追加報告の近衛兵の首が飛んだ。


「キャぁアアアア!!!!!」


王女の目に血塗れの騎士団長の姿が飛び込んできた。


騎士団長は無表情で言葉を発した。


『申し訳ありません。今回の捜索及び異世界召喚首謀者の殺害と召喚魔法陣の破壊を”命令”されましたので、お命頂戴いたします。』


そう言うと騎士団長は、王女に剣を向けゆっくりと前進し始める。


(“命令”?隷属の魔法を掛けられているの?命令の内容からいって、あの≪ハズレ≫が?騎士団の精鋭を全滅させたうえに騎士団長を隷属させるだけの力を持っているというの?)


「近衛兵!騎士団長を捕らえなさい!隷属の魔法を解除して、犯人を突き止めなさい。それでは、後は頼みましたわよ。―“帰還”―」


王女は、胸にしまっていた帰還石を発動させ、あらかじめ登録しておいた地点に避難した。


その後、王宮の近衛兵たちは、大きな損害と引き換えに騎士団長の捕縛に成功したが、騎士団長の隷属を解除することはできなかった。

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