こちら修理屋シュレッガーです

ほしくい

プロローグ

 それは晩春ばんしゅんの夜のこと。

 酷く疲れ果てた吐息が暗い静寂へと消えて行く。


「はぁ……はぁ……」


 見渡す限り我楽多ガラクタの山と破損品の並ぶただただ物の墓場。

 力尽き雑多なゴミの山にもたれる青年は全身から血を滴らせる。

 彼の眼前には灰色のローブを纏った殺人鬼が立っていた。


「残念だナぁ? せっかクあと少しでクリアだったノにな?」


 蔑みの声音で青年へと半透明の刃を向け嘲た殺人鬼。

 彼は逃げ出そうと手足に力を入れるもピクリとも動かない。

 負傷した彼の体は既に限界を迎えていた。


「ここマでの様だね、でも安心しテね! 苦しマないヨうに首から落とスよ」


 はしゃぐ姿は大きな子供、だが刃を構えた瞬間に空気が鉛を含んだ如く重くなる。

 剣など振ったことも無い青年でも理解した。殺人鬼がただの野党や荒くれ者アウトローなどではなく。剣技を極めた騎士や達人の領域の存在だと。


「じゃアね。哀れな小鹿君♪」


 軽口な言葉とは裏腹に殺人鬼の強烈な一撃が振るわれる。

 どうしようも無い理不尽を青年も苦笑して諦めた。

 音よりも早い一振りが青年の首へ迫り。


 ザシュッ……。

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