短編映画用シナリオ

🍱幕の内🍱

『メッセージ』

○オフィス街 夕暮れ

   家路につく人々。その中に一人の男。

   男、深いため息をついて人々の群れにまぎれようと階段をおりてくる。

   同僚が声をかける

同僚「よう、よかったらこれから飲まないか?最後におごらせてくれよ」

男「ありがとう。・・・でも、やめとくよ。あ、大丈夫。気を使ってくれてありがとう」

同僚「そうか・・・。じゃあ、まあ、がんばれよ。きっと次はいい会社みつかるよ」

男「うん、そうだね。おまえも頑張ってな・・・」

   同僚と別れ駅へ向かう男


○電車の中 夜

   窓の外をぼんやりと眺めている男


○オフィス(男の回想) 昼

   社長に呼ばれソファに座る男

社長「今月末までの契約だったね。わが社もねぇ・・・。なかなかねぇ(咳払い)」

   咳払いで言葉を濁す社長

男「ええ、わかりました。また次を探しますから大丈夫です。お世話になりました」


○帰宅道 夜

   夜道を一人あるく男


○玄関前 夜

   鍵を開けようとする男

   男に近づく影

影「郵便です」

男「え?こんな時間に?」

   差し出された郵便物を怪訝そうに受け取る男

   自分宛であることを確認して顔をあげると配達人は会釈をして去っていく。


「20年後のあなたへ

今、あなたは何をしていますか?

夢に向かって一生懸命生きてますか?

それとももう夢をかなえて次の夢に向かってますか?

あなたの隣には誰がいますか?

20年経っても私が隣にいれたらいいな・・・あなたの夢をずっと応援したいから・・・」


   その葉書は、20年前に当時の恋人と行った卒業旅行先からのものだった。


男「・・・さとみ・・・」

   男の目から涙がこぼれた。


○男の部屋

   ボーっと天井をみつめる男


○海(男の回想)男の撮影するビデオ主観

  無邪気に遊ぶさとみ

男モノローグ「君が僕の前からいなくなって、僕の人生は色を失った。夢とか希望とか、そういった言葉がすべて嘘っぽく聞こえるようになり現実を遠ざけるようになったのかもしれない。

さとみ、君が生きてたら今の僕を見てなんていうだろう・・・」


○さとみの家(男の回想)

   さとみの遺影を前に立ち尽くす男


○男の部屋

   天井を見つめていた男は急に机に向かい手紙を書き始めた

   タイトルは『20年後の僕へ・・・』

   手紙を書き終えたころ夜が明けていた。


○玄関前 明け方

   手紙を持って外に出ると例の郵便配達人が現れた

   黙って手紙をわたすと配達人は受け取り会釈をして去っていった。


○オフィス街

   求人雑誌を片手に颯爽と歩く男

   街の風景

男モノローグ(手紙の朗読)「20年後の僕へ、20年後の僕は何をしていますか?精一杯生きて、幸せだと思える日々を過ごしてますか?」


終わり

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短編映画用シナリオ 🍱幕の内🍱 @itahashi

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