… but sincerely yours …（二十歳の頃 復刻版）

第1話 WHAT IS A DREAM?

5時のサイレンがなると、

すぐに俺は着替えて工場をでた

夕方の街はいつもにぎやかだった

俺はショウウィンドウの中の

"Gibson"を眺めながら

いかしたブルース

カーショップのショウルームを眺めながら

恋人とのドライブ

宝石店のショウケースを眺めながら

恋人にわたすときの洒落たセリフを

考えるのが好きだった

実現させるのは、金のない俺にとって

とうてい無理なことだった

でも、俺は信じていた

地道にやれば

いつかきっと実現すると・・・

俺にはもっと違う夢があった

金なんかじゃ買えない

でっかい夢が

友達の一人が

金儲けの話をもってきた

そいつの話によると

うまくいけば、なにもしないでも

金のほうからこっちに会いに来るそうだ

「そんな都合のいい話なんか

ヤバイことでもしなきゃ、そうそうないぜ」

と誰かが言えば、

「夢のないヤツには話してもわからない」

そういって去っていった

ヤツが、いつになく真剣だったのは

夢のせいでなく、

金のせいだったのかもしれない・・・