第10話 驚きのカミングアウト!?

 翌日。


「それじゃあ、また連絡するね」

「ああ。また」


 俺は美亜の見送りのため駅に来ていた。

 昨日、あの後頑張って追いついてホテルまで送った。さすがに美少女を夜一人で帰らせるわけにはいかない。


 俺たちの間には甘酸っぱい雰囲気が……漂っていなかった。まあ当たり前である、付き合ってるわけじゃないのだから。


「思ったより近いからいつでも会えるね」

「いや、さすがに二時間の道のりをいつでも会えるとは言えないだろ」

「いいのっ! 休みになれば会えるもん!」

「いや、俺部活入ってるし」

「ガーン」


 擬音を口に出す彼女の様子に笑みがこぼれる。


「はいはい、まあ、連絡くれ。ラ・プルェーブの話もまたしよう」

「うん、昨日は本当にごめ……」

「言うな」


 謝ろうとした美亜の唇に人差し指を添える。


「っ!?」

「別に謝るほどのことじゃないし、俺は謝られるより美亜の笑顔が見たい」

「……もうっ」


 プイッ、と顔をそらす美亜。ちょっと拗ねた表情を浮かべていた。


「響夜くんってずるいよね。そうやってもっともっと好きにさせてく……」

「え?」

「ううん、なんでもない!」


 聞き取れなくて聞き返すと、首を横に振る。なんだろう……?


「私昨日言ったこと本気だから。絶対君を振り向かせてみせるし、後悔させてみせる」

「楽しみにしてるよ」

「そんな余裕な笑顔も今だけだから!」


 ちょっと悔しそうな表情を浮かべる美亜。いや、だからなんで俺にそんなこだわってるんだか……。


「あ、電車きた。じゃあね」

「気をつけてね」

「うん!」


 笑顔で電車に乗り込む美亜。窓から俺の方を見つめてくる。


「そういえば、私たちって初対面じゃないの知ってた?」

「えっ?」


 言われたことを理解できなくて聞き返そうとした、その時。


『間もなく発車いたします。次の電車をお待ちください』


 無情にも扉が閉まる。俺は混乱した頭で美亜を見つめることしかできない。

 笑顔で手を振ってくる美亜に機械的に手を振り返す。


『じゃあね』

「お、おう」


 口の動きで言いたいことを読み取ると、俺は頑張って笑みを浮かべた。

 ゆっくりと電車が動き出す。見えなくなるまで手を振った俺は、その場に呆然と立ち尽くした。


「初対面じゃないって、どういうことだ……?」


 ネットで知り合った彼女は、俺を振り回すことが好きなようだ。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 読んでくださりありがとうございました! 1章完結、です!

 この1章は甘々イチャイチャ、そして疑問が沢山浮かんだ章だったんじゃないでしょうか。2章3章と、どんどん続いていきます。ぜひこの続きも読んで頂けたら嬉しいです!


 それでは、次は2章でお会いしましょう!

 すぐに投稿しますので、楽しみにしていてくださいね!

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