第4話 レオのお兄さんの誕生日パーティーに参加します
体型改造計画を成功させた私は、これ以上おバカな自分を晒さない為にも、勉強の方も頑張った。自慢じゃないが1回目の生では、貴族学院の成績はいつも下の方だった。公爵令嬢が勉強なんて出来ても仕方ないと思っていたが、さすがにあまりにもおバカではどうしようもない。
それにある程度の知識を身に着けるという事は、身の回りに危険が迫った時、回避する手段を見つけ出す時に必ず必要になると考えたのだ。
とにかく今回の生では絶対失敗したくない。出来る事は何でもやろうと思っている!
ちなみに今は家族で夕食を食べている時間だ。もちろん、嫌いな野菜も残さず食べているし、テーブルマナーも意識している。
「ミシェル、随分食べ方が奇麗になったね。それに最近勉強も頑張っているみたいじゃないか。お父様は嬉しくてたまらないよ」
嬉しそうに微笑むお父様。
「本当ね。最近はメイドとの関係も良好の様だし、それにあれが欲しいこれが欲しいと言わなくなったし。随分大人になったわね」
そうね、昔の私は本当に酷かったものね。お父様、お母様、今回の生では絶対2人を幸せにして見せるからね!
「そうそう、今度スタンディーフォン公爵家の長男、アレックスが15歳の誕生日を迎えるんだ。それで我が家もパーティーに招待されていてね。ミシェルも一緒においで」
スタンディーフォン公爵家と言えば、私を命がけで助けてくれたレオの実家だ!やった、レオに会える!そんな思いから
「ええ、ぜひ参加するわ」
と、即答してしまった。
「珍しいね、ミシェルが乗り気だなんて。パーティーは来週末だから、そのつもりで」
そう言うと、お父様とお母様は食堂から席を立った。私も自室へと戻る。
早速アレックスの事を思い出してみた。レオのお兄さんのアレックスは、頭がかなりよく、貴族学院のテストでも常にトップなんだとか。そんなアレックスを、1度目の生の時は大嫌いだった。
なぜかって?それは会うたびに
「もっと勉強をしないと、本当におバカになるぞ」
「お前はどうしてこんな事も知らないんだ」
と、いつも私を怒鳴りつけるのだ。だから極力スタンディーフォン家には近づかない様にしていた。
でも今思えば、私があまりにもおバカだったから、心配してくれていたのかもしれない。心優しく、私を命がけで守ってくれたレオのお兄さんだものね。今回の生では仲良くしたい。
パーティーは来週か。
という事は、来週にはレオに会えるんだわ!私が最後に見たレオは、大量に血を流しながら命を失った姿だ。正直あの姿を思い出すだけで、涙が止まらなくなる。
今も目頭が熱くなり、涙が頬を伝った。いけない、しっかりしないと。あぁ、早くレオに会いたいわ。そうだわ、こうしちゃいられない。
「ねえ、ルシアナ。私もっと奇麗になりたいわ。それに、アレックスにバカにされない様に賢くなりたい。どうすればいいかしら?」
私の質問にしばらく考えた後
「少しお待ちくださいね」
そう言って出て行ったルシアナ。
しばらくすると、私に協力してくれているメイドたちを連れてやって来た。
「お嬢様、ルシアナから話は聞きました。お嬢様は8歳にしてはもう既に、見た目は十分美しいです。教養の方ですが、勉強ももちろん大事です。しかし、教養や知識は他の事からも学ぶことが出来ますよ」
そう言ったのはエレナだ。彼女は平民でありながら、非常に賢い。
「教えてエレナ、私はどうすればいいの?」
「そうですね。とりあえず沢山本を読んでください。本は知識の宝庫です。色々な本を読む事で、自然と知識も深まっていきますよ」
本か。そう言えば、公爵家にも無駄に書庫があるわ。
「ありがとう、エレナ。でも私、本なんてほとんど読んだことが無いの。どんな本がお勧めか教えてくれると嬉しいな」
「そうですね。お嬢様は細かい文字が苦手ですので、まずは絵本から読んでみましょう。おすすめの絵本をいくつか準備しますね」
絵本か…絵本って小さな子供が読むものよね。でも、せっかくエレナが勧めてくれたのだし、断ったら悪いわよね。
「そういてくれると助かるわ。本当にありがとう」
とりあえずお礼を言っておいた。その後エレナは、私に読みやすい絵本をいくつか持ってきてくれた。読まないのも失礼だと思い、とりあえず読んだのだが、これが意外と面白い。童話はもちろん、この国に関するお話を、簡単にまとめた物などもあった。
最初は絵本なんて小さな子供が読むものよ!と思っていたが、これは結構いいわね。それに、これなら眠くならないし。その後も、エレナに手配してもらった絵本を読む日々が続いた。
そしていよいよ今日は、スタンディーフォン公爵家のパーティーに出席する日だ。
「ルシアナ、今日はとびっきり可愛くしてね」
私のリクエストに、クスクス笑うルシアナ。
「もちろんですよ。とびっきり可愛く仕上げますから、任せてください」
ルシアナは宣言通り、とても可愛く仕上げてくれた。今日のドレスは黄色だ。レオの瞳は金色。それに近い色をと思って、黄色を選んだのだ。
ちなみに頭にも、黄色いバラの髪飾りを付けてもらった。そう、まさに黄色一色だ。
「ちょっと露骨すぎるかしら…」
鏡を見ながら呟いた私の言葉を、どうやら聞き逃さなかったルシアナ。何かを察知したのか、ニヤニヤしながらこちらを見ている。
「お嬢様、まさかレオ様の事が好きだったなんて意外ですね」
「そうよ、好きよ!でも、権力を使って手に入れたくは無いから、お父様とお母様には黙っていてね」
素直に認めておいた。ルシアナに知られている方が、後々アドバイスを受けやすいと思ったし、そもそも隠すつもりもない。でも、私が認めた事がそんなに意外だったのか、口をぽっかり開けて固まっているルシアナ。
その時だった
コンコン
「お嬢様、旦那様がお待ちです」
お父様専属執事が呼びに来たのだ。慌てて玄関に向かい、馬車へと乗り込んだ。ちなみにうちのお父様とレオのお父様は従兄弟同士で、かなり仲がいい。そのため、私とレオも頻繁に会っていたのだが、レオが7歳で騎士団に入団してからは、会う頻度も減ってしまったのだ。
「それにしても、今日は珍しく黄色いドレスを着ているんだね。いつも水色のドレスを着ているのに」
無駄に勘がいいんだから!でも、今お父様にバレる訳には行かないわ。
「たまたま黄色のドレスを着たかっただけですわ」
適当に誤魔化しておいた。今回は多くの貴族が来ているはずだから、せっかくなら友達を作ろう。自慢じゃないけれど、1回目の生の時は、取り巻きは居ても、友達と呼べる子が1人もいなかった。
どうせなら何でも話せる友達が欲しいわ。とにかく今日は色々な令嬢と話して、出来るだけ沢山の子と仲良くなる事も目標にしよう。
そして馬車に揺られる事10分、スタンディーフォン公爵家が見えて来た。
懐かしいわね。貴族学院に入ってから、ほとんど来たことが無かった。2回目の生になってからは初めてだ。
「着いたよミシェル、さあ行こうか」
いよいよね!
差し出されたお父様の手を握り、馬車から降り公爵家に向かって歩き出したのであった。
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