長門有希の憂鬱Ⅱ
のまど
プロローグ
グラウンドに到着したとき、すでに火は消えつつあった。辺りに立ち込める、灯油と火薬の燃えた臭いが鼻を突いた。俺が描いた地上絵の形に、赤い光がゆらゆらとゆらめいていた。ときおり吹き抜ける冷たい風に、火は立ち消えようとしていた。暗くてよく分からなかったが、野球のバックネットのそばに人影らしきものが見えた。どうやらまだ帰ってないようだ。
「
その
「
「そんなバカな」
階段のほうから四人が歩いてくるのが見えた。俺はこっちだと手を振って示した。
「それ、誰?」ハルヒが尋ねた。
「この人は
「ふーん。……なかなかいい男ね」
冗談言ってる場合か。
冬の夜空に、冷たい雨が降り始めた。
「雨だ。傘持ってくればよかったですね」
「あ、わたし持ってますよ」
さすが
「一本だけですけど」
それを五人で身を寄せ合ってさすのは無理があるかと。
「濡れますから、とりあえず運びましょう」
俺の記憶が正しければ、学校の前の坂を登ったところに車が止めてあるはずだ。
「
俺と
「僕たち、なんだか死体を運んでる殺人犯みたいですね」
なんて
人目を
「車まで運んだはいいが、後どうしよう?」
「……わたしが運転する」
「
「……理論はわかる」
理論って、
「
「残念ながら経験ありません」
「あたし、運転くらいできるわよ」
いや、ハルヒ、お前が運転する車に乗るくらいなら三百六十度回転ジェットコースターに乗ったほうがまだ安心できる。俺は
「運転できますか」
「ごめんなさい、こんな古い方式の移動車両は運転したことがないですぅ」
そうでしょうね。未来じゃ行き先を告げるだけで自動操縦っぽいですもんね。しょうがない、完璧を
さて、どこから話そう。そもそも、なんでハルヒがここにいるのかを説明しなければなるまい。事の起りは、俺と
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