ぐしゃりぐしゃぐしゃ
アスファルトの上にあるゲロとそれに群がってきた虫を見下ろす。
わたしは足を少し上げて、それを踏み潰した。
ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ。
ぺしゃんこになった虫たち。
おろかおろか。
おろかなのは踏まれたほうでしょうか。
それとも踏んだほうでしょうか。
風が吹くと痛い。
嫌な臭いが鼻の奥に刺さり、目が染みるけど泣いたあとだから涙はもう出ない。
黒い煙。空を真っ黒にしちゃうんじゃないかと思うくらい、すごい勢いで車から上がり、それが目印になったのか遠くからサイレンの音が近づいてくる。
ぐしゃ。
たった今、車でわたしの家族をぐしゃぐしゃにしたこの男をわたしは踏むべきでしょうか。
血混じりのゲロのそばに虫の息で倒れているこの男を警察が来るその前に喉を踏むべきでしょうか。
復讐はおろかでしょうか。
ぐしゃりぐしゃぐしゃ。
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