自衛戦隊メチャクチャジャー

寝る犬

第1話「自衛戦隊メチャクチャジャー」

 真紅のフルフェイス。同じ赤を基調とした全身スーツ。

 常人では成し得ない高さまで飛び上がった男は咆哮を放った。


「くらえっ! メチャクチャァァァキィィィック!」


 物理法則を無視した速度で急降下。

 足先の空気が圧縮され、赤く輝くほどのキック。

 イカと人間と機械が合体したようなおぞましい怪人は、それでもその攻撃に半歩下がっただけで耐え、吠えた。


「レッドちゃん!」


 後ろから声をかけたのはピンクの全身スーツを着た小柄な女性。

 レッドがさっと身を交わすと、ピンクは両手で握った可愛らしいステッキを前に突き出した。


「ダークエメラルドパワー! スネアネイル!」


 ぽわぽわ~というなんとも気の抜ける効果音とともに、怪人の周囲の地面からデコレーションされた長い爪がにゅっと生える。

 足をネイルに固定された怪人に向け、青い全身スーツの男が飛びかかった。


「デヤァァーッ!」


 ブルーの気合一閃。

 肩の後ろから手刀が振り下ろされ、ノコギリのような光が飛び出す。

 くるんくるんと宙を舞った光のノコギリは、怪人の体を無数の肉片に変え、一瞬の間の後、爆発四散させた。


「やったね! ブルーちゃん! レッドちゃん!」


「ふっ、大したことはなかったでござる」


 喜ぶピンクとブルーを前に、何故かレッドは顔をそむけ、肩を震わせていた。

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