17-ⅩⅢ ~宇宙人バーンズ、地球勤務中。
――――――この惑星の人間は、強い。
「……おらあっ!」
「ぐわあああああああああっ!」
俺の目の前で、また一人、ヤトガミ・ソードが倒されている。俺やブルーナが組んでかかっても、歯が立たなかった奴を、だ。
*****
住宅街で交戦していた相手は、戦闘民族であるギリメカラ星人。巨大なこん棒とでっぷりと太った身体が特徴だ。太っていると言ってもその動きは俊敏であり、おまけに見た目通りパワーもある。
そのスピードは俺達宇宙警察の銃撃をひょいひょいと躱し、強烈なタックルで俺たち2人は壁にめり込ませられてしまった。
「ブヒヒ、宇宙警察なんぞオデ様の敵じゃねえや―――――――ブヒッ!?」
そしてこん棒を振りかざしながら下卑たる笑いを浮かべるギリメカラ星人のデカくて重い身体を、回し蹴りでぶっ飛ばす地球人がいる。
紅羽蓮という、現地協力者だ。
「ブヒブヒうるせーんだよ、この豚野郎!」
「ブ、ブタヤロウ……っ!?」
蓮の言葉に、ギリメカラ星人はショックを受けたのか、口をあんぐりと開ける。
(……ちょっと言い過ぎたか……?)
その反応に逆にひるんだ蓮だったが――――――ギリメカラ星人は、その後すぐに、顔を赤らめた。
「な、なんて奴だブヒ……! まさかいきなり、口説いてくるなんてっ!! 地球人って、情熱的な種族ブヒねぇ」
「は? 口説く?」
「……ギリメカラ星人にとって、ブタヤロウは『美人』と同じ意味なんだよ……!」
「え、マジかよ」
俺の捕捉に、蓮は顔をしかめる。しかも、蓮は地球人で言う雄にあたるが、目の前のギリメカラ星人は、何と雌である。
「わ、悪いが、オデ様には、故郷にフィアンセがいるから……!」
「そんなのがいるなら、なおさら犯罪なんてしてんじゃねーよ!」
「う……うるさ―――――――いっ!! ブヒイイイイイイイイッ!!」
突っ込んできたギリメカラ星人の背中に蓮は素早く回ると、そのまま見事なスープレックスを決める。地面に頭をめり込ませたギリメカラ星人は、そのままバタリと倒れてしまった。
「……ったく……」
「まあ、気持ちはわかるよ。推しとフィアンセは、別腹だよな……」
倒れているギリメカラ星人の腹に、エイミー・クレセンタはポンと手を置いた。彼女もヤトガミ・クラスタであり、特にヤトガミ・ソードの気持ちが良くわかるらしい。
そして、蓮とエイミー、そしてもう一人の現地協力者であるボーグマンは、今日だけで20人ものヤトガミ・クラスタを捕まえている。
一方俺とブルーナの2人は、地球に来てから未だ0人であった。
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