第3話

「それで? どうするんですか? あくまでもその女を庇って一緒に破滅するんですか?」


 コウシャンが冷めた目でオウジン達を見渡す。


「うっ! そ、それは...」


 オウジンが言葉に詰まった。


「...は、破滅って!?」


 床に倒れ込んだままの姿勢でダンシャルが尋ねる。


「決まっているでしょう? こんな公の場で私を嵌めようとしたあなたに待っているのは破滅のみですよ? たかが男爵家が我が公爵家にケンカを売ったも同然ですもの。ただで済むとは思わないことね? あなたの家はペンペン草も残さず消え去るものと覚悟しなさいな」


「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」


 ダンシャルが恐怖に怯える。今頃になってとんでもないことを仕出かしたのだと実感したようだ。遅きに失した感は否めないが。


「男爵家はお取り潰し、あなたは平民落ちね。自業自得だから誰も責められないわね。あぁそうそう、殿下達に助けを求めても無駄よ? あなたを庇った時点で全員廃嫡されるから、誰も助けてくれないわよ?」


 その言葉にオウジンと取り巻きどもが顔面蒼白となる。


「は、廃嫡って...」


 オウジンが掠れた声を漏らす。


「殿下、あなた方の愚行はそれぞれの実家にずっと報告し続けておりましたのよ? そうよね? あなた達?」


「「「 はい、その通りです! 」」」


 そんな声を上げながら、オウジンの取り巻きども3人の婚約者達が、コウシャンの後ろにズラッと並んだ。そう、まるでコウシャンを守るかのように。


 その光景を目の当たりにした取り巻きどもが床に崩れ落ちる。


「あなた方がハニートラップに嵌められたことに自分達で気付いて、いつかは正気に戻るんじゃないかと信じてこれまで放置して来たんですが、まさか私を断罪しようとするなんて...ここまで愚かな行動に出るとは思いませんでしたよ...」


 そう言ってコウシャンは目を伏せた。オウジンは唇を噛み締めながら俯いている。


「さてと...私と婚約破棄したいんでしたっけ? それなら謹んでお受けしますよ? もちろん、こちらの3人も同様です。そうよね? あなた達?」


「「「 はいっ! 」」」


「それで? 殿下、本当によろしいんですのね?」


 コウシャンは伏せていた目をしっかりと見開き、オウジンを睨み付けながら最終確認した。

 

「まままま待ってくれ! と、取り消す! あ、あれは取り消すから! も、もう一度俺に...い、いや俺達にチャンスをくれないか! た、頼むよ! お、お願いだから!」


「ああ言ってるけど、あなた達どうする?」


 そう言ってコウシャンは3人を振り返った。

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