第9話 下級モンスターでさえ強敵の世界
この世界には人間の他にも獣人族、竜族、魔人族などの上級種族や、オーク、ゴブリン、スライムなど下級モンスターなど、様々な種族がいた。
人間以外にも、スキルを持つ者はたくさんいる。
スライムなどの下級モンスターにも『捕食』スキルを使ってみたかったが、それらは凶暴で見つけ次第、襲いかかってくる。
スライムは特に厄介だ。下級モンスターではあるが、その強さは計り知れない。
いくら剣で切っても分裂を起こし、また1つのスライムへと再生する。
おそらく『分裂』というスキルだ。
物理攻撃は、完全無効 (ノーダメージ)
有効なのは、炎や氷などの属性攻撃のみ。
スライムを跡形もなく焼き尽くすか、凍らせて動きを止めるかである。
そして、彼らに取り込まれたが最期。
ネバネバした体は、取り込んだ者を逃しはしない。
スライムは体に取り込んだ後、栄養分をゆっくりゆっくりと抜き取り、絞りとるものが無くなったあと、最後に死体の体内へ卵を生みつけ、野ざらしにする。
あとは、卵が孵化し死体を栄養源に産まれたばかりのスライムが大きくなる。
剣などまともに扱えず、属性攻撃をもたなかった幼き日のリゼットには、危険過ぎた。
そのため、あえて近づかなかった。
それらでスキルを試すことはしなかったのだ。
そう、10年前の少女であったリゼットは、このスキルの本質、本当の力を知らなかったのだ。
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