テイマーとして異世界転生した飼育員はワニチートでスローライフを送りたい

第40話 危機

リタと別れてから数時間が過ぎ、日が少し傾き始めた頃、遠くの森の中から不穏な気配を感じた。

レオンナンドも同じものを感じ取ったようで、馬車の速度を少し落とし、周囲を見回している。

「バルシュ様、何か違和感を感じます。少しだけ用心して進みましょう。」

オレも同じ感覚を覚えていた。何かが近づいてくる

それも、ただの動物や通行人ではない、明らかに危険なものだ。

ゴロウも感じ取ったのか、オレの肩で緊張した表情を見せた。

「ダイ、何か変な感じがするよ。何かが近づいてきてるかも…。」

レオンナンドは鋭く周囲を警戒しながら進んでいた。

そして、その存在を目視したのか

「シルバーウルフです！バルシュ様、ダイ様 馬車から絶対に出ないでください！」

そう、声をかけると同時に突然、森の奥から何かが飛び出してきた。

現れたのは数頭の魔獣だった。大きな体と鋭い爪を持ち、すぐにオレたちの馬車を襲おうとしている。

バルシュは落ち着いている

「レオンナンド、シルバーウルフ3頭だ。お前なら何てことない相手だと思うが手が欲しくなったら

いつでも呼びなさい」

まるでシルバーウルフが3頭もいることなど問題にしていないかのようだ。

オレは驚きつつも、レオンナンドがいるなら大丈夫だと感じた。

レオンナンドは素早く剣を抜き、戦闘態勢に入った。

オレは馬車の中でじっと息を潜め、彼の動きを見守るしかなかった。

シルバーウルフの一頭が素早くレオンナンドに向かって突進してきたが、

彼は冷静にその動きを読み、一閃を放つ。

鋭い剣の一撃がシルバーウルフの体を貫き、その巨体が地面に崩れ落ちた。

先頭の一頭が倒れたことで、残りの二頭が慎重に距離を詰めてくる。

オレたちを囲むようにして、その鋭い目で狙いを定めていた。

その瞬間、レオンナンドは静かに詠唱を始めた。

彼の剣が淡い光を帯び始め、やがてその光が強くなっていく。

「ライトニング！」

剣から強烈な光が放たれ、目を焼くような閃光が走った。

思わずオレは目を閉じたが、次に目を開けた時には既に2頭のシルバーウルフは地面に倒れ、動かなくなっていた。

「えっ終わってる？」

オレは何が起きたのか分からず、驚いて声を漏らしてしまった。

「あぁ、ダイはレオンナンドの戦闘を見るのは初めてだったか。

ライトニング、レオンナンドの得意技だ」

「得意技・・・」

バルシュはまるで当然のように言っているが、オレにとっては驚きの連続だった。

レオンナンドの冷静さと技術の高さは想像を超えていて、

オレも魔力の扱いをもっと練習しなければと思った。

シルバーウルフが倒れ、襲撃が収まると、あたりは再び静寂に包まれた。

ゴロウもようやく緊張を解いた様子で、オレの肩から降りて馬車の床に座り込んだ。

レオンナンドの強さは想像以上で、魔力を使いこなすその技術には驚かされた。

レオンナンドは馬車のドアを開けてオレたちに報告にきた。

「危険は去りました。もうしばらくは安全でしょう。お二人とも、ご無事で何よりです。」

それに対してバルシュは

「レオンナンド腕を上げたな。」

「いえ、、バルシュ様には遠く及びません。

それで、シルバーウルフの解体や処理などもあるので本日はここで野営をするのはいかかでしょうか。」

「そうだな、他に魔獣の反応も無いようだ。私の従魔のマルフォに見張りをしてもらい

ここで明日に備えるとするか。」

「はい、それでは準備いたします。」

まるで何事もなかったかのような態度だったが、

彼の戦闘技術がどれほどのものかを改めて感じさせられた。