第11話 湖
バルシュと二人で森を進み始めてから30分程たっただろう。
マルフォは別働でこの先に魔物がいないかを確認しながら進んでくれている。
神様から授かった啓示によるとそろそろ湖についても良さそうなものだが・・・
そんなことを思っているとバルシュが
「ダイ、あれを見なさい」そう指をさした。
その先を少し背伸びをしながら見てみると200mくらい先に
木が開けた場所から日が差し込んでいるのが見えた。
「あの日の光の元に湖があるのだ。もう少しだ」
そう、オレの目を見て鼓舞するように言った。
「はい、父様」
と返事をしてバルシュについていく
そうか、子供の体力だとこの歩きづらい道の上、いつ魔獣に襲われるかわからない状況だと疲弊をしてもおかしくない。
少し疲れている様子を見せておいた方がいいかな・・・
そんなことを思いながら日の光の方へ進んでいくと
先ほどまで鬱蒼とした雰囲気だった森の中に優しい光が広がり始めた。
「よし、この茂みを越えたところが湖だ」
バルシュはそうが言いながら背丈ほどの木々を掻き分けていく。
その茂みをバルシュが作ってくれたトンネルを抜けると、
そこには光が乱反射をして、まるで宝石が散らばっているような錯覚をしてしまう程の水面が広がっていた。
その湖にバルシュと近づいてみる。水の中を覗いてみるとそこに住んでいる小さい魚の鱗まで見えそうなほど澄んでいる。
バルシュは徐にその水を掬い口に運ぶ。
「うむ。やはりこの水は魔力を含んでいて旨いな。ダイも飲んでみなさい。」
「はい!父様。」
そう言い、恐る恐るその水を手で掬い飲んでみる。
「・・・甘い。この水、甘いです父様」
「うむ。人は魔力の回復は睡眠や休憩をする事で魔力を回復する事ができるが
魔力を含むものを食せば口からも摂取する事ができるからな。
よし、そろそろ卵を探さねばな。」
バルシュはそうが言い腰をあげる。
オレも辺りを見渡してみる。
ちょうど湖畔の対岸の辺りにある岩場には木漏れ日で一点を指している場所を見つけた。
「父様、あそこです。あの場所にあるような気がします。」
オレはそういうと
「よし。先にマルフォを行かせてみよう。あの場所になければ一周して見れば良いのだ」
とバルシュは返してくれた。
バルシュは指笛でマルフォに指示を出す。
マルフォは水面のギリギリを飛んで岩場へと向かう。
岩場に近づくとくるくると旋回をして一番高い岩へととまった。
「ピュイーィ」
と声を上げるとバルシュは優しい笑顔でオレをみると
「ダイよかったな。あの場にお前の従魔になる卵があるみたいだ。」
「はい!ありがとうございます!父様!」
やっとゴロウに会える。
そう思うと笑顔が自然とこぼれる。
バルシュと湖畔を10分ほど歩きマルフォがいる岩場へと到着した。
マルフォがいる岩の下にあるくぼみにはオレの膝丈ほどもある大きな卵をみつけた。
・・・ゴロウ
やっと会えたね・・・
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