ヒノキの棒は、意外と強いぞ!

門前払 勝無

第1話

「ヒノキの棒は、意外と強いぞ!」


 はぁ……。


 溜息ー。


 キメテトンデアルイテツカレル伯爵の隠し子のキマラナイカラカエルは森のかなの池を見つめながら溜息をついた。


 名前が長いからカエルと略するー。


 カエルは同級生達がどんどん旅に出発するのに自分は落ちこぼれアンド貧乏だから旅に出れなくて劣等感を溜めている。


 ニラニラ城門下の戦士育成学校ー。

 ニラニラ国は他国から鎖国をしているのだが流れてくるモンスターや盗賊が後を絶たない。そこで十代の若者達を国防軍として育成機関を設置しているのである。


 カエルは3年生の17歳で既に卒業冒険へ出ても良いとしてあるのだが、キメテトンデアルイテツカレル伯爵の隠し子で母は宿屋のパートである。卒業冒険へ出るための資金も武器も防具もないのである。


「母ちゃん!ミルちゃんも卒業冒険へ出たよ!プニプニした奴とパタパタした奴を連れて鉄のハンマー持って鉄の鎧着てたよ!」

カエルは野菜のスープを煮ている母に伝えた。

「アンタも冒険に出たいの?」

「出たいよ!だって父ちゃんはダークドラゴンを倒したキメテトンデアルイテツカレル伯爵でしょ!俺も勇者になりたいよ!」

母は少し考えてから“よし!”と手を叩いた!

「アンタ!バイトして自分でお金貯めて装備を買いなさい!母ちゃんがバイト先探して置くから!」

「マジかよ!そんなオープニングありなのかよ!」

カエルはマジに驚いた。


つづく

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