突然、自分の書いていたミステリー小説の世界に紛れてしまった俺はミステリーに尽く馬鹿にされる。

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第1話

 俺の名前は阿笠栗栖。


 一応、ミステリー小説家と言うやつをやっている。


 何故、一応かというと売れない作家と言う奴だからだ。


 新人賞を取って処作を売り出したが、初めはそこそこだけ売れ、次作を何作か書いたがズタボロに叩かれた挙句、出版社が手を引く赤字作家になった。


 なんでも、ミステリーのトリックが甘すぎだとか在り来りとか、深く感情移入出来ない犯人像とか。

 兎に角ボロクソに言われ、編集からは作品カテゴリーを変更したらどうだとまで言われた。


 言われたが、俺はミステリーが好きなんだ!


 ミステリーが好きだからミステリー作家になったんだ!


 それなのに、それなのに!


「腹、減ったな」


 また、水でも飲んで、寝て紛らわすか。


 俺は朦朧とした意識の中、水道水を飲み再びパソコンに向かい新たなミステリー小説を書いていた。


「今度の奴は見た奴らにギャフンと言わせられる出来だ、見てろよ編集」


 送信ボタンを押して俺は机に突っ伏した。


「集中し過ぎて3日も完徹しちまったぜ。はは」


 そして、力尽きた俺はそのまま眠りについた。


 その後の事は夢なのか何なのかよく分からない。


 気が付いたら、俺は自分の書いたミステリー小説の中にいた。


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