第30話 藪をつついていないのに大蛇が出たこと

「あのビルですかねえ」




「『第三帝国ビル』・・・そうですね」




「腐った屑の悪臭がする」




俺達の目の前には、5階建てのビルがある。


中小企業のテナントが下2階分、上3階分は住居スペースだろう。


良くも悪くも普通のビルである。




「ここが『タイヘイ』の根城か・・・」




俺は、兜割の柄を軽く握りしめた。








ホームセンターを根城にしていた連中を残らず成仏させ、残しておいた1匹に『インタビュー(じんもん)』をした。


片足首を失っている割に馬鹿なのか、威勢はよかったが・・・


足の切断面を小刻みに蹴るという後藤倫先輩のとんでもない方法によって、それはもうペラペラと喋り出した。


彼が息絶えるまでの間語った情報によって、俺達は『タイヘイ』の根城の情報を知った。


なお、最後はサクッと楽に・・・してやろうと思ったが、彼のスマホを調べた時に出てきた画像によってそれもやめた。




多数の女性に対する、唾棄すべき行為の数々。




俺も吐きそうになる画像群を見た後藤倫先輩は、いつにも増して無表情になった。


その後の彼は・・・まあ、なんというか。




画像の女性たちの100倍は苦しんで死んだことだろう。


それだけは断言できる。




素手でも先輩ほどの腕があれば、容易く人体が破壊できるということがよくわかった。


同情する気も起きないがな・・・俺がやってやりたかったくらいだし。






本拠地のビルは先ほどのホームセンターからさほど遠くない場所だった。


物資収集を後回しにし、俺達は奴らをまず壊滅させることにした。




俺も神崎さんも、もちろん先輩も異存はない。


それに先輩、昔っからああいう奴らには容赦しないもんな。




「確か、上の3階に構成員が住んでるって話でしたね・・・数はええと・・・」




いかん、先輩のスタイリッシュ人体損壊のイメージが凄すぎて覚えていない。




「約30人です、田中野さん」




おおそうだったそうだった、30匹ね。




「どうします?まだ手りゅう弾はありますし適当にポイポイしてから踏み込むますか?」




「馬鹿田中、まだ女性がいるかもしれないからそれは無し」




おう・・・それもそうか。


確かに、そういう人たちが囚われている可能性もある。


流石に巻き添えで殺してしまうのはかわいそうだ。




「たとえ死んでいても、遺体は綺麗なまま葬りたい」




ビルを睨みつけながら、強い口調で言う先輩。




「では、どうしますか?陽動を入れてから奇襲しますか?」




神崎さんの質問に、先輩は長巻を肩に担ぎながら吐き捨てる。




「不要、正面から突っ込んで全員殺す。人質いる場合は、可能な限り助ける」




そのままゆっくりと先輩は歩き出した。




「了解、シンプルでいいや。神崎さんは俺の後ろから来てください、銃持ちがいたらよろしくお願いしますね」




兜割を引き抜き、俺も続く。




「わかりました、お二人ともくれぐれも用心なさってください」




初めからライフルを持つ神崎さんも、俺に続いて歩き出す。




さあて、待ってろよ屑ども。


先輩は一切容赦しないぞ。


・・・俺もそうだがな。






あらかじめ聞いていた進入口・・・非常階段を上がり、3階の入り口へ至る。


中からは人の気配がする。


何をしているのか知らんが、やたらうるさい。


これじゃあ俺たちが階段を上る音も聞こえていない事だろう。




俺達はここから内部へ侵入し、奴らを殲滅しながら上へ上へと進撃する。


情報提供者によると、4階と5階部分の入り口は壊れて開かないらしい。


好都合だ。


それなら1人も逃がす心配はない。




「田中、行く」




「いつでもどうぞ」




俺の答えに薄く微笑んだ先輩が、ドアに蹴りをぶち込む。


まるで破城槌のような威力を見せた蹴りは、そのまま鍵のかかった薄い鉄製のドアをひしゃげさせながら開けた。


さて突撃・・・






「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」「アアアアアア!!!アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」




「た、たしゅけ」「逃げっ!!逃げェゥ!?」「来るなよォ!!来るなアアアァ!!!」






吹き飛んだ扉から見える景色。


それは、ここの構成員と思われる連中が・・・




黒ゾンビの集団に食い荒らされているものだった。


ちょいとした地獄絵図である。




「・・・は?」




「む」




「・・・!」




それからの俺たちの行動は速かった、と思う。




まず神崎さんがフルオートで発砲。


一番手前にいるゾンビごと構成員を撃つ。




「はぁっ!!」




先輩が銃弾を浴びてよろめくそいつらに向け、俺の肩に手を置いてドロップキック。




吹き飛ぶそいつらを追い越すように、俺は室内に向けて手りゅう弾を投げた。


俺の上を先輩がひらりと飛び越えて外へ。


神崎さんも撤退済みだ。




「一時撤退!」




ドアノブを掴み、叫ぶと同時に閉めた。


ガラスの破片を浴びないように、そのまましゃがむ。




一拍置いて、室内から爆発音。




持っているドア越しに、俺に衝撃が来る。


悲鳴と吠え声を乗せ、ガラスが飛び散る。




「もう2個、いきます!」




自前の手りゅう弾のピンを引き抜いた神崎さんが、割れたガラスでぽっかりと開いた穴にそれを時間差で投げ込む。




再びの爆発と衝撃。




2度の爆音が鳴り、濡れた何かが壁に飛び散る音と悲鳴が聞こえた。


よし、初動は何とかなったな。


いきなりのイレギュラー発生だが、これで仕切り直しを・・・




「田中ッ!!」




普段聞き馴れない先輩の切羽詰まった声。


珍しいな、なんてどこかで思った瞬間、凄まじい衝撃が俺を襲う。




「ぐっあ!?」




視界の隅で蝶番がはじけ飛ぶのが見えたと同時に、ドアが俺の方へ叩き込まれる。


しゃがんでいたのが災いして踏ん張れなかった俺は、そのままドアごと反対方向の手すりへ激突した。




背中に激痛。


肺の空気を残らず吐き出した。




「グルウアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」




呼吸もままならない俺の視界に、唐突に突き出される黒ゾンビの顔。


俺を何とかして噛むつもりか、歯を剥き出して吠える。


うっわ、なんだこの歯!?


普通の人間の歯じゃない・・・まるでサメみたいに全部尖ってやがる!!




こいつ・・・!あれだけの爆発で生きてやがったのか!?


しかもなんつう力だ、やっぱり普通のゾンビなんか目じゃない!!




「グウウウウウアアアアア!!」




残ったガラスで首周りを傷付けながらも、俺に向かって迫る黒ゾンビ。


それに対して、俺は―――




「口が(血生)臭ぇんだよこの野郎が!!!」




なんとか呼吸しながら、ヘルメット越しの頭突きを口に叩き込んだ。


ばきばきと嫌な感触を頭で感じながら、フリーな手で脇差を抜く。




「くっ・・・たばれぇ!!!」




シールドに飛び散った血で視界は悪いが、この距離なら外さん!!


俺に向かった突き出された口に、脇差が突き刺さる、




「んの・・・野郎ォ!!」




そのまま勢いを乗せてさらに押し込み、上顎経由で脳まで突き入れる。




「アガガガガガ!!!!!」




その瞬間、バグったように全身を振るわせて黒ゾンビは機能停止した。


ふう、やっぱ脳を破壊すれば死ぬか。


体内は普通のゾンビみたいに柔らかいな。


表面は硬そうだけど。




脱力したゾンビから脇差を抜いてドアごと押し返し、すぐに立ち上がる。




「田中野さん!」




「撤退です2人とも、とにかく階段を下りて正面まで・・・」




俺に駆け寄ろうとする神崎さんを振り返りながら言う。


このままここにいたんじゃ戦いようがない。


ある程度の広さがある所まで退かなければ・・・!




「田中ぁ!新手!正面!!」




先輩の声にほぼ無意識で前方に向けて突く。




「アアアグアガアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」






外れたドアの隙間からダッシュする黒ゾンビ。


そいつの顔に、脇差が突き刺さ・・・らない!?


こっこの野郎、顔に殻みたいなアレがある!!


くっそ、弾かれた!




手を引いて再度突きを放つ時間はない。


引いた所にそのまま潜り込まれそうだ。




「っのォ!!!」




前傾姿勢のため、下がっていた顎を膝で思い切り蹴り上げる。


膝で蹴ったのにこっちにまで痛みが!


非常識な硬さしやがってからに!




だがそれでも隙はできた。


仰け反った喉を脇差で掻き斬る。




「うるあぁ!!!」




弛緩するゾンビの胸元を全力で蹴り、室内に向けて叩き返す。


今度こそ撤退だ!




俺達は踵を返して非常階段を下り始めた。




「お先」




先輩は2階の手すりから跳躍。


落下しながらビルの壁面を蹴りつけ、地面に着地して前転。


うわあ、すっげえパルクール・・・




「とんでもない、身体、能力、ですね!」




息を弾ませながらも嬉しそうな神崎さんである。




「現代、にも、忍者っ、いたら、あんなもん、でしょうねっ」




俺もそれに返しつつ、細心の注意を払って階段を駆け下りた。




「ガアアアアアアアアアアア!!!」「オオオオオオオオオオオオオ!!!」




「早く!2体来る!!」




俺と神崎さんが階段の1階部分の手すりから跳躍するのと同じくらいに、後方から聞き馴れつつある吠え声と何かを破壊するような音。


おいおいおい、まだビルの中に美味そうなのいたろ!?


なんでこっちに来るんだよお!?




前回り受け身を取りつつ着地すると、背中に鈍痛が走る。


青あざくらいにはなってそうだな、骨までは大丈夫だとは思うが・・・




「1体はこっちでやる。田中、キリキリ働け」




「了っ・・・解!」




長巻を構える先輩が、俺の横に立つ。


息を整えつつ起き上がると、黒ゾンビ2体が手すりからこちらにジャンプで飛び掛かってくるところだった。




脇差では分が悪い。


雑に血振るいして納刀しつつ、兜割の柄に手をやった瞬間。




フルオートの銃声。




空中の黒ゾンビの片方が、突如として顔面を柘榴のように弾けさせる。




神崎さん、空中の顔面を撃ったのか。


すっげえ腕前。




撃たれたのは先輩の正面の黒ゾンビ。


こっちの方は健在だ。




落下点を割り出し、前へ。


踏み込みながら抜刀の姿勢に移行する。




「っし!!」




柄を半回転させ、切り上げの形で居合を放つ。


大地を踏みしめた力を余すことなく右手に伝え、ごく短い距離で俺の出せる最高速へと加速させる。


師匠の居合には遠く遠く及ばないが、こいつが俺の出せる現状最速だ。




「アアアアアアアアアアアアアアg」




空気を切り裂く剣先が、空中でわめきたてるゾンビの顔面に命中。


落下速度と、こいつ自身の体重を合わせた衝撃が俺の手首に襲い掛かる。




「ぬううううあっ!!!!」




インパクトの瞬間にのみ力を込め、一瞬で脱力。


一撃でいい、一瞬でいい。


コイツの首がへし折れるくらいの威力で十分だ!!




まるでおもちゃの人形のように、黒ゾンビの首が背中側に倒れる。


体捌きでその体を躱すと、そのまま黒ゾンビは地面に倒れて動かなくなった。




「・・・ふう」




手首は無事だ。


なんとかうまくできたな。


以前は、刀のつもりで兜割を振ったのが間違いだった。


鈍器には鈍器の振り方がある。


兜割は見かけこそ刀だが、刀ではないのだ。




そこでふと考える。


コイツに刀で立ち向かった場合はどうだろう?


先輩の長巻ですら両断できなかった首を斬れるのだろうか。




・・・めんどいからやめとこ。


やはりゾンビには鈍器、こいつが鉄則だな。


頼むからこれ以上進化しないでくれよ・・・?




「先輩、次は来そうですか?」




「・・・たぶん最上階に1体いる。それより下はさっきの3体」




自立式簡易レーダーと化した先輩が答える。


・・・よくわかるなあ。


俺には悲鳴も聞こえてこないというのに。


防音しっかりしてんなあ、あのビルは。




「未熟者めが・・・めが・・・」




なんで自分でエコーかけてるの?馬鹿なのこの人?




「・・・馬鹿にしたろう田中、潰すぞ、金玉」




「まだニューハーフになりたくないのですごくごめんなさい!!!」




くそう、本当に俺は顔に感情が出るな。


やはり、早急にかっこいいマスクを探さねばなるまい。


今度激安の殿堂ドンキー・ドンキーの廃墟で何か探すか・・・




「あ、あのっ!お、お疲れ様です!・・・田中野さん、背中は大丈夫ですか?」




先輩のゴールデンボール発言で顔を赤くしつつ、神崎さんが声をかけてくる。




「ああ、大丈夫ですよ。軽い打ち身って感じですかね・・・それにしても黒ゾンビ、マジで力強いですな」




「ええ、ドアをああも軽々と吹き飛ばすとは・・・有効なのは近接戦ですが、危険度も今までと段違いですね・・・」




わかっていたことだが、黒ゾンビは厄介だ。


ゾンビだからこその無尽蔵な体力。


それに加えてあのスピード、身体能力。


なによりアレだ、ジャンプできるってのが地味にヤバい。


そりゃ、俺達なら倒せはするが・・・


あいつらが、3次元移動しながら襲い掛かってくるのはキツい。




龍宮はビルが多い。


建物が多いのだ。




今までのゾンビなら暗がりとかを注意していればよかった。


しかし・・・あいつらは屋根の上や死角から飛び掛かってくるだろう。


今まで以上に周囲に気を付けなくては・・・


もっと、稽古しようかなあ。




あああめんどくさい・・・面倒臭いが、死にたくはない。


探索をやると言った以上、やらねばならん。


それに、神崎さんを1人であんな化け物まみれの龍宮市街へ行かせるわけにはいかんのだ。


花田さんにも約束したし。


それに、俺にもあるのだ。


師匠や先輩方に比べれば、ちっぽけにもほどがあるが。






『侍魂プライド』ってのが。






「ん、音が止んだ」




「お、両者共倒れですかな?」




微かな希望を口に出した。


だがまあ、そこらのチンピラ属性のアホどもに黒ゾンビと渡り合える根性なんてないだろうな・・・




「来た」




最上階の窓ガラスが内側から吹き飛び。




「アアアアアアアアアアガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」




「がば!?助けっ、だれかだすげでえええええええええええええ!!!!!」




黒ゾンビと、そいつに喰らいつかれたチンピラ風の男が落ちてきた。


なっさけない悲鳴の尾を引きながら、男とゾンビは地面に激突。


赤黒い液体を周囲にぶちまけながら不格好なミンチに・・・なってないな。




男の方は即死したようだが、黒ゾンビは顔面の半分と左腕をひしゃげさせてまだ動いている。


ああもう、足は無事かよ・・・




「ゴアアアアアアア・・・ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!」




女性型黒ゾンビが、ゆるゆる立ち上がって俺たちに向けて吠える。


戦意は十分なようだ。




「田中田中、ぱーす」




「うおおおおお!?」




先輩が長巻を俺に向かってひょいっと投げてきた。


あっぶねえ!?




「・・・素手でやるんですか?」




「ん、いいもの見せてもらった。お返し」




薄く微笑むと、先輩は黒ゾンビに向かって無造作に歩き出した。




「見ててね、田中」




まるで、散歩でもするかのように。




「ご、後藤倫さ・・・」




銃を構えようとする神崎さんを手で制す。




「俺たちは残敵の警戒をしときましょう・・・先輩が長巻を捨てたってことは、それで『勝てる』と確信しているからです」




残敵もいないだろうしな、たぶん。


しっかり見ていよう。




「たぶん、すっげえいいもの見れますよ」






歩く先輩に対し、黒ゾンビは走り出す。


5階から転落したダメージを一切感じさせない動きだ。


出鱈目な防御力だなあ、ほんと。




だが、目前にいるのは後藤倫先輩。




その背中には慢心も、油断もない。


ただ、確信があるだけだ。




先輩に、疾走の勢いを乗せて飛び掛かる黒ゾンビ。


それに対し、先輩はゆっくりと右手を引き―――




「鋭ッッッッ!!!」




裂帛の気合と共に、凄まじい速度の右正拳を叩き込んだ。




「ッガ!!!」




着弾は胸の中央。




拳を起点に、まるで急ブレーキを踏んだようにゾンビは止まり。




「ガ・・・ッォブ・・・」




顔中の穴から鮮血を噴出した。




「きったな」




どむり、と音を立てた先輩の蹴りによって、黒ゾンビは反対方向へ倒れ。


それきり、動くことはなかった。






南雲流甲冑組手、奥伝ノ五『鎧貫よろいぬき』


甲冑越しに、相手の心臓や肺にダメージを与える技。






・・・なるほどなあ、黒ゾンビの装甲って甲冑みたいなもんだもんなあ。


最早ファンタジーに片足突っ込んでる攻撃だわ。


師匠やおっちゃんの木刀が与える衝撃も、あれと同じ理屈なんだろう。


と、いうことは・・・黒ゾンビは心臓を破壊しても死ぬ?ってことか。


脳と心臓・・・弱点は人間と同じだな、やっぱり。




「手首大丈夫ですか?」




「未熟者と一緒にしないで・・・未熟者めが・・・めが・・・」




またエコーかけるのやめてくんないかなあ?


ひょっとしなくても気に入りましたね、先輩。




「じゃあ一応ビル内を点検してええええ!?」




「たっ田中野さん!田中野さんアレ!あれはなんですかアレは!!後藤倫さんの使ったアレは!!!」




完全に興奮しきった神崎さんが、俺の肩を掴んでガックンガックン揺する。


その上完全に抱き着いている。


おぼぼぼ!?


なんで先輩に聞かないんですかこの人は!?


むち打ちになっちゃううう!!!




「一撃必倒の秘拳。かっこいい?」




「はいっ!!素晴らしいです!!!」




「はっはっは、褒め称え崇め奉れ」




「はいっ!!!!!」




あのちょっとやめてとめて振動をとめて先輩も助長しないでエエエエエエエエエエ!!!!




・・・今朝食った乾パンを大地に還元する寸前で神崎さんは我に返った。








その後元気を取り戻した俺達はビル内を確認したが、死んだチンピラともうすぐ死ぬチンピラしか見つけることはできなかった。


案の定、黒ゾンビによって全滅していたようだ。


死にかけのチンピラに聞いた所、あの情けない悲鳴の主が『タイヘイ』であった。


助けてくれと懇願するチンピラの首に足を落とし、楽にしてやった。


こんな奴らの物資など欲しくはないし、ひっ迫しているわけでもない。


俺達はホームセンターに帰ることにした。




ホームセンターに帰還しこの先必要になるであろう物資を山ほど回収した後、無事に家路につくことができた。


勿論、先輩は今日一番いい笑顔で冷蔵庫を抱えてきた。




・・・なお、先程の行動がさぞ恥ずかしかったらしく。


神崎さんは高柳運送までの区間、無言の上荷台から出てこなかったことを記しておく。

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