第16話 自宅改装のこと

自宅改装のこと




避難所からの帰りにアホをスマート(当社比)に処理してから2日後。



『俺たちが国を愛したように、国も俺たちを、愛してほしい!』


名言だなあ・・・


俺は電気屋で手に入れたプレイヤーを堪能していた。

一番高い奴だけあって音質も映像もクオリティが高い!

ような気がする。

普通に考えればソフト準拠だが。


今見ているのは、クソ強いベトナム帰還兵が山とかベトナムとかアフガンとかで大暴れするアレだ。

ちなみに2である。

ストーリーは1が好きなんだけど、やっぱりアクションは2だよなあ・・・4とかもえげつなくて意外と好き。

しかしこの頃の主役の俳優、今見てもカッコよすぎだろ。

学生時代は憧れて筋トレしまくったり生卵飲んだりしたなあ。

盛大に腹を壊したので生卵ゴクゴクは1回しかやらんかったけど。


あー、先っちょに爆弾が付いてる矢かっこいいよなあ。

どうしたら作れるのか見当もつかんけど。

・・・でっかいサバイバルナイフもかっこいいな。

今度探してみようかな。

脇差の代わりにならんかな?



うーん堪能した。

結局その後、未来から来た筋肉サイボーグが大暴れする超大作2も見てしまった。

うーん、やはり筋肉こそパワー・・・


立て続けに、ロボとして復活した刑事が大活躍する映画も見たかったが際限がなくなってしまうので我慢した。

いやー大容量バッテリー内蔵なだけあって長時間動くなあ。

いい買い物・・・取り物?拾い物?をしたもんだ。



さて、いつまでも映画鑑賞していたいところだが、今日はやることがある。

以前から考えていた、家のちょっとした改造だ。


現在、俺は2階から出入りをている。

1階は内側から鍵をかけているが、これだけでは心もとない。

もしも大量のゾンビが押し寄せてきた場合、玄関はともかく雨戸を出しただけの窓では不安が残る。

そこでまずは、窓の内側から板を打ち付けて固定していくことにする。


使う板は昨日のうちに北区のホームセンターからいただいてきた。

石川さんと猿2匹の後にも大勢が来たのだろう。

発電機や懐中電灯など、いくつかの電化製品は根こそぎ無くなっていた。

だが、板や大工道具などはほとんどそのままだったので、問題なく持ち出すことができた。

軽トラ万歳!


換気用の小さな窓だけを残し、1階の主要な窓はすべて塞いでいく。

結構音が出るが、自宅周辺にはあまりゾンビがいないらしいので一気にやってしまう。

おっかなびっくりやるより即行で終わらせた方が危険もないだろう。


来たら来たで相手をしてやればいいのだ。

あいつらアクティブなときはあーあーうるさいからすぐわかるし。


内側が終わったので今度は外側だ。

周囲に気を配りながら手早く作業していく。


しかし、近所の住人は誰も帰ってこないなあ。

坂下のおばさんもだ。

由紀子ちゃんにはオッサンというデカすぎる負い目があるので、1回隣町まで行っておばさんのことを確認してくる必要があるな。


さて、一応の補強が終わった。

これでゾンビはなかなか突破できないだろう。

もし家族が見たらびっくりするだろうなあ。

・・・元気かなあみんな。



お次は『人間用』の工作だ。


自宅はブロック塀によって四方を囲まれている。

ガレージと玄関の前に正門があり、家の裏側にももう一つ小さい門がある。

今まで見てきた中で、ゾンビの頭は動物以下だということがわかった。

数の暴力で倒す以外、ブロック塀を登ることはできないだろう。

ただ反射と食欲めいたもので動く死体に過ぎない。

もちろん噛まれたら一巻の終わりなので油断はしないが。


だがあの金髪連中のようなタイプの人間ははどうだ?

力はゾンビに及ばないが、少なくとも頭はいいだろう。

・・・ゾンビ以上犬以下あたりかな?


悪知恵だけはありそうであるが。

とにかく今のこの家を見れば、


『こんなに防御して住んでるなら、中になにかいいものがあるだろううグフフ』


というよからぬことを考えるアホがいるかもしれない。

いやいる。絶対いる。

全然乗ってないがおやじの国産車は結構高いやつだし。


町にある程度物資が充実している今ならいいが、いずれ店にある物資は底をつく。

俺はそれを見越していろいろ自活の工夫を考えているが、ああいうアホは人のものを奪うことを考えるだろう。

その方が手っ取り早くて楽だからだ。

被害者のことなど何も考えてもいないし、考える気もない。

そんな奴らは平時にもいるのだ。

今みたいな状況ならもっと露骨になるはずだ。


そんなやつらに貴重な物資をくれてやるものか!



というわけで、まず塀の上に板に釘を貫通させたものを、釘が上を向くように置いていく。

昨日からでコツコツとこしらえたものだ。

わざと釘の大小をランダムに使用している。


ぐるりとブロック塀の上に置くことはせず、わざと素人工作っぽくちょこちょこスキマを作る。

ちょうど人がギリギリ登れるくらいのものだ。

そしてそのまま乗り越えた先の地面に、塀の上に置かなかった釘板を配置。

安心して飛び降りた先でブスリ!というわけだ。


我ながら性格の悪い配置だ。素晴らしい。

洋館に罠を仕掛けるゲームをやりまくった経験が活きたな。


・・・そういえば、今トラバサミって売ってないのな。

違法らしいねえ。

知らなかったから小一時間探しちゃったぞ。



うーん、明らかにヤバい人が住んでる家になってきたなあ。

うはは!テンション上がってきた!!



よっしゃ次は門だ!

裏にある門は使わないので内側から板を打ち付け、取っ手を針金でぐるぐる巻きにしておく。

もちろん上には釘トラップだ。

そして正面の門だが、ここは俺も普段利用するのでガチガチに固めることはできない。

車も出すしな。


まず門柱に釘トラップをずらりと並べる。

引いて開けるタイプの門なので、門の端に鍵を取り付ける。

これはホームセンターで調達してきた防犯対策がガチガチに施された錠前だ。

出かけるときにはこいつでしっかりと施錠していく。

鍵は絶対なくさないようにしておこう。


聞いた話では、泥棒っていうのは時間がかかることを何より嫌うらしい。

そりゃそうだ、いつ住人が帰ってくるかわからないんだからな。

これだけ面倒くさいことになっていれば、早々に諦めてくれるだろう。

くれるといいなあ。



うむ。

急ごしらえにしてはなかなかいいものができたんじゃないか?


まあ問題点はこれから洗い出して、その度に改良していけばいいことだしな。

某ベトナム帰還兵さんにあやかって、えげつないブービートラップなんかを設置してもいいかもしれんな!


・・・あんまやりすぎると、忘れた俺がひっかかって大変残念な死に方をする恐れがあるのでほどほどにしておこう。



うーし今日の作業は終了!!

水風呂入ってサッパリして、煙草吸いながら映画見るぞ!!


次はロボ刑事にするか、銃で近接戦闘するクレリックにするか・・・悩みどころだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る