詰んでいる話
@JP2000
第1話 やりたいことをしていたらお隣さんが亡くなっていた
俺は21歳の無職童貞。
新社会人として頑張ろうとした結果一ヶ月ほど前に鬱でやめてしまった。
それからアニメやゲームを楽しめるようになるまで休み、頭が働くようになるまでには快復した。
体力が落ちたり人と会話するのが億劫にはなったが些事のようなものだ。
周りはこの時期マスクだらけで溶け込めるし見られているようなストレスも少ない、隣が少し煩いが推しの配信があるし問題ない、今日も見ようと思ったが公式から試験のため休養するとのご報告だった。
少し寂しいものの、推しも頑張ってるし自分も頑張ってみようと少ないながらの貯金もあり転職先を探しながら人生再帰をしようと思い立ち、様々な会社を受け内定を貰い一ヶ月がたった。
もうすぐ3月、そろそろ引っ越しの時期か、そんなのんきなスケジュールで動いていた矢先、友人からメールが届いた。
珍しくどうしたのだろうと思い内容を見たら『これもうみた?』という文章、気になり貼ってあるURLを押した。
女子大学生殺人に関する掲示板で、全国ニュースにもなっているらしい。
流し見ていると写真に見覚えがあった。
ここ(賃貸マンション)だった。
少しの間頭が真っ白になっていた、そんな近くで起こっていたなんて気が付きもしなかったからだ。
確かに節約のため家から出なかったり近くに知り合いがいなかったのもあるが、事情聴取すら来ていない。
なぜ、そう考えるとインターホンが壊れていたのを思い出した。
来る人も訪問販売しか来ないしもうすぐ家を出るのも相まって放置していたからだ。
マンションは5階建てで入り口も鍵がなければ入れず入り口とエレベーターには監視カメラが付いている。
インターホンが壊れていれば変な押し売りも来ないだろうぐらいにしか考えていなかった。
何より恐ろしい内容が書いてある、『犯人は隣に住んでいるやつだ』
怖くなりながらも気になり読み進めているとどうやら投稿主は捜査の内情を知っている人らしい、情報に信憑性は低いがどうにも内容が具体的だった、曰く
『捜査の際マンション内のカメラに写っている頻繁に出入りする人たちは身元がわかっていて被害者と接点のある人物は証言、アリバイ等が取れている』
『マンション内の住人で隣の住人以外からは証言が取れている、隣人は幾度の呼びかけにも応じず、またカメラに最後写ったのは被害者がなくなる以前である』
『元々努めていた会社は仕事が思ったようにうまく行かず信頼等が無くなりやめていったという証言と会社からの電話にも応じなかった』
等々、どう見ても自分のことにしか思えなかった、散々な言われようだし寒気がする、果たしてこんなに情報を漏らすバカが居るのかと考えていると最後に自分が写り込んでいる写真とともにこう書かれていた。
『被害者のスマホ内部の写真に隣人が写っていることからも犯人と疑っている』と
いろいろな思考が頭をよぎる、なぜ?、相手の顔すら知らないのに?そもそもこの掲示板に書き込んだ意図は?はめられた?顔がわかれば後は名前が出てしまう、事実はどうあれ広まる、全国ニュースにもなっている話題だ。
最後のコメントが投稿された時間を確認する、15分前となっていた、まだ間に合う、そう思い自分が第一にするべきことを行動した。
居候している腐れ縁をすぐに追い出すことだ。
「春、ゴメンだけどすぐに家に帰ってくれ、今すぐに、荷物は後ででいいから」
「は?急に何?なにかあったの?」
「説明する暇がない、後でメールするから」
彼女は春、三ヶ月ほど前に会社を辞め家にも居づらいため養ってくれと言われた。
その時期は絶賛仕事繁盛期で精神的にも一杯いっぱいだった為話し相手欲しさに了承してしまった。
そりは合わないが、まぁなんというか小さい頃惚れた弱みだった.
小柄で茶髪にショート、格好はだぼだぼの上着に、大きめのズボンを着るため体型はわかりづらいがそういったファッションが好きらしい、声質が少し低いのも相まって男の子といった印象を受ける
「いつも言葉が足りない、お金が底をつきたとか?言えば働いたのに」
嘘をつけと言いたい、初めてのバイトが一週間続かなかったのを知っているぞ
そう言いたい気持ちを抑え急かす、ようやく少し焦りを理解しれくれたのか最小限の荷物を持ち家を出た。
きっと帰ってくることはないだろう、いい機会だったのかもしれない、ともあれ春が巻き込まれない確率は大分高くなっただろう、アリバイを証言してくれる相手がいなくなったとも言える、春もこちらに来てから自分より家を出ていないためきっと共犯者にされるだけだろう、春はネットで活動していたしもしかしたら早とちりだったかも知れないが。
そうなったら証言してもらうか、うん。
春からメールが来た
『なんか外カメラ持った人たちが集まってきてたよ、冬もでたほうがよかったんじゃない?』
そうしたいができない、しかし早いな行動、まだ一時間立ってないぞ。
もう家からは出られないだろう、春を早めに外へ出せてよかった、そこまで考えて次の行動が出てこない。
ネットには顔写真、自宅周りにはうるさそうな人だかりが出来つつある、実家に人が来るのも時間の問題かも知れない、一応メールは送ったが返信はない、友人に知らせてもらうよう頼んだ、被害が回りに来ないよう祈りつつ掲示板を見たらコメントが増えていた。
『話が出来過ぎ、動機は?』
『顔写真まで載せてるけどこれ大丈夫?』
『というかこんな人相の悪い写真都合よく保存されてたな』
『この人見たことある、昔地元にいたけどそんな目立った人じゃなかった気がする』
良かった、そこまで信じられていないらしい。このまま杞憂で終わってほしい、早めに電話して証言しに行ったほうがいいかな、なんて思っていたら新しいコメントが追加されていた。
『こいつ憶えてるぞ、名前は冬、やっぱりやらかしたんだな』
ほえ?
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