彼女と私の恋人契約 〜恋する気持ちを知らない私と、そんな私に恋する君と〜

創つむじ

第1話 プロローグ

 私は友達の好きと、恋する好きの違いが分からない。

 ただ一緒に居るのが楽しいと思ったから、付き合うという選択肢を選んだ。

 毎日会えないと寂しいなんてことはない。

 近くでお喋りしていれば楽しいし、姿が見えなければ居ないなぁと思う。

 本当にそれだけ。


 じゃあなんで付き合ったのか?

 それはあの子に私が必要だったからだろう。

 私も隣にあの子が居て不快になんてならないし、好意を向けられて嫌な気持ちは全くなかった。

 だから告白を受けた時、条件付きで付き合うことにした。

 本当にそれだけ。


 私はあの子のことを嫌いになれない。

 むしろ嬉しそうに笑う顔が好きだ。

 でもそれが恋だと思ったことは一度も無い。

 それは仲の良い友達との違いが分からないからなのかも知れない。

 一緒に居て楽しい人はその子だけじゃない。

 別にその子にこだわる理由も見付からない。

 だけど拒否する必要性を感じない。

 だって私も楽しいのだから。


 それを世間一般で恋愛とは言わないのだろう。

 なら別に私達は周囲から恋人として見られなくてもいい。

 私はあの子のことが好き。

 あの子は私に恋している。

 そして私達は恋人同士。

 本当にそれだけ。

 

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