第2話

 俺は、予知夢を見た。その夢の舞台は、3ヶ月後の校外学習の夢で、俺は体育祭のアレを原因に女子から「ギャップ萌え〜」とか言って、勝手に男子の好きな人ランキング的なものにランクインしてしまい、校外学習の班決めで俺は、ゲームの景品のような扱いをされ、呆れて俺は班決めをサボった。別に誰かと同じ班になりたいとか思わなかったからだ。それは、小さい時の悪い記憶のせいだ。

 だから、どうだって良かった。

 そして、俺は校外学習の前日まで誰と同じ班になったかは知らなかった。まぁ、俺がサボってただけなんだけどな。それでもいい加減参加しないと面倒なことになりそうだったから参加すると、あの体育祭で救護を任せた女子がいた。もう少し先の予知夢を見たがこの女子は、どの夢にも登場しなかった。だからこそ俺は、この女子がどういう人なのか見極めようと考えた。しかし、俺が体育祭で目立ち、勝手に俺をランキング付けした女子達は、あの女子が悪い訳でもないのに、あの子に嫌がらせを始めたのだ。そして、校外学習の当日、あの子は校外学習には来たが、ずっと怯えてるようだった。しかも、可哀想に校外学習先は、水族館だった。なぜ可哀想かだって?その答えは簡単だ。女子達は、わざわざ嫌がらせをするため、俺の隣にいるために、暗くて、人目のつかない場所にあの子を呼び出した。そして、あの子の荷物を漁り、財布やスマホなどの貴重品を取ってあの子を置いてけぼりにしたのだ。その後、どうなったかなんて見たくもなかった。だが、俺の予知夢は意地悪だ。結局最初から最後まで見てようやく俺は、目を覚ました。

 そこは、保健室のベッドだった。俺は、悟ってしまった。きっと今回の体育祭を発端に未来が変わってしまったということ。しかも、この世の終わりとか言う世紀末に発展するのではなく、あの子つまり、高梨凛花は、俺と関わったことが何かしらで影響するということ。その何かしらというものは、まだ確定した未来では無いということ。結論を言うと、高梨凛花は、俺と接触することにより、高梨さんの身体または精神に大きくダメージを与えてしまうということだ。

 俺は、震えが止まらなかった。俺が、予知夢を見れるということをいうことを幼い時の俺は自慢に思いよく他人に話していただが、歳が上がるごとに特に小学生あたりで俺は、妖怪やら嘘つきやらとにかく気持ち悪がられた。しかし、それでも信じてくれた人はいたのだ。だが、その子は俺が予知夢を見れるということを知ってから1年もただずに他界してしまった。しかも、その他界するところを俺は予知夢で見ていたのにも関わらず、俺はその子を守り通すことが出来なかった。そこから、俺は一人でいるようにして、誰にも予知夢が見れるということは話さず、そして、大きく人前に出ないようにしてきた。だから、きっと1回ぐらい大丈夫だと思い込んでいたが、やっぱりダメなのかと、俺は絶望してしまった。

 あの時と違うのは、小学生と高校生というところしかない。一体どうやったら、高梨さんを守れるだろうかと俺は保健室のベッドで狸寝入りをしながら考えていた。

 すると、俺が守り通さなければと思っていた、高梨さんが保健室に入ってきたのだ。

 どうやら、俺が助けた、男子の記録を保健室のノートに書きに来たようだった。相変わらず俺は、寝たフリをしていたが運悪く、くしゃみをしてしまい、起きてることがバレてしまった。焦った俺は、とりあえず深呼吸して何かいい案はないかと脳をフル回転していた。

 俺はこの時、一つだけ案が出ていた。それはどうやって守り通すかというそっちの案だった。なぜ俺はこの時、これしか案が出てこなかったのか不思議で仕方がなかった、何せこの後俺はどんどん自分自身を追い込んでいってしまうのだから。

 色々考えた結果がまとまりかけた時、高梨さんは、俺が寝ているベットの側に椅子を置き、まるでどこかのお嬢様というような感じで椅子に座り、こう言った。

「大丈夫?もう体育祭終わちゃったよ。

 みんな打ち上げだ!とか言って騒ぎながら帰ってしまったよ。君は動けるなら帰った方がいいよ。疲れてるみたいだから。」

「ありがとう。俺もう動けるから高梨さんが言ってくれた通り帰るね。心配してくれてありがとう。そろそろ日が暮れるから途中まで送るよ。」

 俺は心の中でパニックだった。小学生のあん時から俺は人と喋るのが苦手なのにこんなにベラベラと饒舌で喋り、しかも、一緒に帰らないかと自分から誘ってしまったのだ。

「いいの?でも、私救護係の報告ノート書き終わってないから大丈夫だよ。ありがとう。」

 そして何故かこん時の俺は引き下がろうとはしなかった。

「それぐらい待てるよ!仕事終わらせちゃいな。」

 そしてニコッと俺は微笑んだのだ。大半の人はこの時点でもやばい人だと思うはずだが、高梨さんはそこまで言うならばと妥協してちょっとだけ待っててと言い、ペンを握って報告ノートに文字を綴らせていった。

 書き終わると、急いで保健室の先生に渡しに行き、戻ってくるとニコッと笑い少し息が荒い状態でお待たせしましたと言った。

 そして、俺たちは一緒に帰った。俺は学校から近い場所に住んでいたが高梨さんは、電車通学だったので俺は駅まで送った。

 そして別れ際にさっき浮かんだ案をボソッと言ったのだ。

「いきなりで悪いんだけどさ、高梨さんのことを守らせて欲しい。だから、俺と付き合って欲しい。」

 言った張本人の俺もなんで言ったのかわからなかったが、高梨さんは、

「えっと、元谷くんのことあんまり知らないからちょっと…」

 そしてまた、俺は引き下がらなかった。ほんとにアホだと思った。

「お願い!とりあえず3ヶ月間でいいから!」

 と俺は願いこんだ。すると、見かねた高梨さんが、

「3ヶ月間だけだからね。」

 と言い、俺の無茶振りの案を承諾してくれたのだ。

 これがまた未来を変えたなんて当時の俺達は知らないかったのだ。

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