「夕食の時間だ来い」

若いメイドが呼びに来た。

私を餓死させるつもりはないらしい。

食堂に行くと侯爵と侯爵の母親とローザがいて、既に席についていた。

「遅いぞ！」

と言って侯爵が私を睨む。

なら早く呼びに来いボケカスと思ったが口には出さない、「申し訳ありません」とだけ言って席に着く。

私の座る椅子の足が壊れているのに気づく、侯爵とメイド長が口元を歪めこちらを見ている。

なるほどあの二人の仕業か、幼稚な虐めね。

私は椅子に時間逆行魔法をかけ、椅子に座る。

私が何事もなく椅子に座ったのを見て、侯爵とメイド長が首をかしげている。

椅子に細工をする指示を出したのが侯爵で、実行したのはメイド長といったところか。

私は誰にも気づかれないように風の魔法を使い、侯爵の座っている椅子の足を切ってやった。

「ふぎゃぁぁあああっっ！！」

侯爵がひっくり返り、間抜けな声を上げる。

「ビリーどうしたの？！」

「ビリー様、大丈夫ですか〜〜？？」

侯爵の母親とローザが、倒れた侯爵を心配そうに見ている。

「椅子の足が壊れたぞ！　メイド長ちゃんと点検しておけ！！」

侯爵はメイド長を怒鳴りつけた。メイド長は青い顔で呆然と立ち尽くしていた。

自業自得、いい気味だわ。

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