クリスマスに

バブみ道日丿宮組

お題:メジャーな天使 制限時間:15分

クリスマスに

 クリスマスの夜、ベランダに天使が舞い降りた。

「はじめまして」

 金色のように月夜で輝く金髪はとても眩しかった。

「はじめまして?」

 天使と思った生命体は見知った顔。

「毎日会ってるよね?」

「そうだね。幼馴染だもの」

 そう幼馴染だった。隣に住んでる腐れ縁。知らないことがない相手。

「なんでベランダにいるの? 不法侵入?」

「違うよ、おばさんに入れてもらったんだ」

 ふーんとなぜ母がベランダもとい我が家に幼馴染を招待したのか考えてみる。

 ……特にこれといって浮かばなかった。より一層疑問感が強くなっただけだった。

 ならば、と。

「それでクリスマスの夜にわざわざなんのよう? 部屋に入る?」

 僕の問いに応える前に彼女は部屋に入ってきた。

「彼女がいない君のためにわたしだけは遊んであげようと思ってね」

「なるほどな……それなら普通にチャイム鳴らしてくればよかったのに」

 ふふんと彼女は笑う。

「それじゃ、この衣装がもったいないじゃない」

 衣装……うん。白いドレスというのかワンピースなのか。外行きの格好には違いないが、いかんせんおしゃれに疎い僕は、

「それで天使みたいな格好なんだ」

 ありのままに応えた。

「て、天使って!? は、はずかしいな、もぅ」

 頬を赤らめる幼馴染の行動に困惑しつつもベランダの扉をしめた。

 そしてそのままベッドに座ると、彼女はその隣に腰をおろした。いい匂いが僕の鼻を刺激した。普段ならこんな匂いを彼女はしてない。

「おばさんにあなたのことをお願いされたの」

「お願い? クリスマスに1人だから?」

 それなら母はよっぽど誰かと過ごさせたいんだな。僕は好んで1人でいるというのに。父が死んでからずっと母1人で支えてくれて、こういう日には休んでくれた。

「待てよ……」

 今日は確か仕事があるってた。

「どうやって入った?」

「合鍵もらったの」

 猫のキーホルダーがついた見慣れたカードキーが彼女の手のひらに現れた。

「なりゅほどな……」

 部屋を自由に出入りできるんだったら、隠れられたか。

「あ、あのね?」

「うん」

「この服どうかな? お店の人が大事な日にはこれがいいっていったの?」

 上から下まで見つめると、彼女は視線をそらした。

「可愛いと思うよ。天使かと一瞬思ったくらいだしね」

 そうとうつむいた彼女は僕の手を掴んだ。

「ここまでやった理由わかるよね?」

 それが何かを考える前に僕は彼女に押し倒され、唇を奪われてた。

「えへへ」

 彼女は見たこともない笑顔だった。

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クリスマスに バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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