白空想黒

バブみ道日丿宮組

お題:白い会話 制限時間:15分

白空想黒

 誰かと会話してるようでしてないことは起こりえない。

 とはいえ、携帯電話を片手に忙しそうにしてるのは人に見えない。

「……」

 昔は本を読んだり、新聞を読んだりした人がいたようだけど、今じゃこのありさま。皆機械のように携帯電話をいじってる。これが人造人間といっても疑えない。

 携帯電話でやることは当然違うけれど、だいたいゲーム。キレイな色がディスプレイで点滅して、爆音がたまに聞こえてくる。

 学校についてもテレビの話題はなく、皆携帯電話を片手におしゃべりしてる。

「最近話題のゲームだね」

「そうなんだ」

 仲の良い友だちが登校いの一番にそう告げてきた。

「……混ざらないの?」

「うーん、私じゃレベルが違いすぎるからさ」

 レベル……そういえば、毎日夜遅くまでゲームしてると聞いたかな。

「そんな唖然としてもデータはあげられないよ」

「ううん、ゲームはほとんどわからないから……」

 ポチポチ押すだけのモノゴトが面白いとは思えない。まだ知らない電子書籍を探したほうが有意義。時間は有限だから、好きなことをすればいいと思うと否定はできない。

「そうかぁ。面白いんだけどね。あっ、おすすめしてくれた本読んだよ」

「どうだった?」

「なかなかリアルに起こらない事件でゲームみたいだった」

 ゲームか……。

「うん、ノベルゲームみたいな?」

「そんなものもゲームにあるんだね」

 読むだけなら、僕にもできそう。

 というか、それはゲームでいいの? 本に音楽と声がついただけでしょ?

「気になる?」

「ノベルゲームというゲームに疑問」

「うーん、劣化した本みたいなイメージがわくのはわかるけど……なんだろうな、やればわかるって感じ?」

 そう言われるとやらないと結局わからないことになる。なら、僕がやることはないだろう。

「おすすめしてくれた本の中にゲーム化してるのもあるし、そういうのは興味ない?」

「別に本編だけ読めれば特に必要ないかな」

 物語に登場してくるわけでも話が繋がるわけでもない。

 なら、本だけ買ったほうが安い。無駄に高いものを買わなくてすむ。聞いたところによると1万も超えるものもあるという話。手が伸びる範囲じゃない。

「そうね……まぁ私が話してるからやってるようなものかな!」

「うん、話してくれるのは凄く面白い。ただやっぱり世界が違うように思う」

 それは一種の映画のように。

「ま、今度泊まりに来た時にとっておきの見せてあげるから」

「期待しないで待ってる」

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白空想黒 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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